「冬が似合う恋愛映画」といえば。
日本でもリメイクされた『50回目のファーストキス』という映画がありますよね。
ドリュー・バリモアとアダム・サンドラーが共演した、記憶をめぐるラブストーリー。
あの映画のポスターは、浜辺に2人が座り、
"青空 × 海 × ハイビスカス"という
夏のエッセンスを詰め込んだビジュアルなのですが、
これを初めて見たとき、言いようのない違和感を感じました。
デザイン的にはまとまってるし、
よく見るスター共演のラブストーリーにも関わらず。
その理由は……
内容が《夏×オトナの恋愛》だったからなんです。
一見ありそうなんだけど、意外と観たことがなかった。
やっぱり真夏の開放的なラブストーリーの主人公は若者たちで、
「好きだーー!!」なんて叫んじゃう系の青春映画がほとんど。
夏の光と刹那は相性よし、なんです。
でも、少しばかりの痛みを重ねたオトナの恋は、より慎重で、
あらゆる状況を想定し、タイミングを重要視します。
駆け引きこそが大切なオトナの恋を描くには、
心が内向きになり、人肌が恋しくなる"冬"がもってこいなわけです。
ということで今回は、
数多ある"長袖のラブストーリー"の中から、
王道中の王道『ノッティングヒルの恋人』をご紹介しようと思います。
ジュリア・ロバーツ、ヒュー・グラント共演の奇跡のラブ・ストーリー。
まずはストーリーからどうぞ。
***
ロンドン西部のノッティングヒルで小さな書店を営む男性ウィリアム。
ある日彼の店に、ハリウッド女優のアナが訪れる。
その後、ウィリアムは街角で偶然アナとぶつかってジュースをかけてしまい、
近くにある自宅で彼女の服を乾かすことに。
アナは不器用だが誠実な彼に惹かれ、2人は恋に落ちるが…
***
スター女優と小さな本屋の店主の恋。
いわゆる逆シンデレラ・ストーリーの本作は、
『ローマの休日』にオマージュを捧げた作品と言われています。
そして、『ローマの休日』がローマの観光映画であるように、
『ノッティングヒルの恋人』もウエストロンドン、
ノッティングヒルの観光映画としての魅力も持っています。
運命の出会いとなった青い看板のブックショップ。
夜に忍び込んだ庭園ロスミードガーデンズ。
アナが定宿にしているロンドンの名門「ザ リッツ ロンドン」、
そしてポートベロー・マーケット。
そんな美しいロンドンの風景を旅気分で楽しめるのも
この映画のいいところ。
そして何といっても、奇跡を信じたくなる恋物語です。
最高のタイミングで流れる名曲「She」です!
いつ見てもハッピーになれて、恋がしたくなる。
そんな夢を見ているみたいにキラキラしたラブストーリーは、
そうあるものではありません!まさにお手本のような一作。
誰かをけなすような笑いじゃなく、個性や人間味によって生まれる笑いも
映画の世界を暖かく包み込んでくれています。
脚本を務めたリチャード・カーティスは、
本作の後『ブリジット・ジョーンズの日記』2部作の脚本を担当し、
『ラブ・アクチュアリー』『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜 』
といった傑作の監督・脚本を手掛け、
このジャンルの第一人者となりました。
合わせて、ぜひ。
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『ノッティングヒルの恋人』
Blu-ray 2,075円(税込)
DVD 1,572円(税込)
発売元: NBCユニバーサル・エンターテイメント
※2022年2月の情報です。
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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