ぼくは運動神経が悪そうとよく言われます。
でも学生時代は本格的にサッカーをやってたし、
いまだって雨が降らないかぎり、ランニングも毎朝しているんですよ。
(今年で6年。続けるのは得意なんです)
日々、映画を観ては、感情や思考がぐるぐると渦巻いているため、
運動をすることで心と体のバランスを整えることができる。
ランニング中はスマホも持たず、音楽も聞かないため、
心と向き合うこともできます。
朝の公園は、空気は澄んでいるし、光もきれい。
尻尾をふって散歩を楽しむワンコや、
池にプカプカ浮かぶカモさんを見ることだってできる。
そう、つまりいいことだらけなんです。
そんな日常をおくっているぼくからオススメしたい作品が、
2013年のフランス映画『メニルモンタン 2つの秋と3つの冬』のランニングシーンです。
内容は、こんな恋のお話。
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パリのはずれの街、メニルモンタン。
ボルドーの美大を卒業したアルマンは定職にもつけず、
親友のバンジャマンと冴えない毎日を過ごしていた。
33歳の誕生日にアルマンは決意する。
「仕事をみつける。運動をはじめる。タバコをやめる。」
そろそろ、本当に何か起きないといけない。
ある日のジョギング。アルマンは偶然出会ったアメリに一目で恋をし、
ある事件をきっかけに急接近するが…
ふたりは考えている。共に生きていく幸せ、
出会ってからの長い道のり、いくつかの試練。
たぶん未来のことも。
***
アルマンは、「週2回、近所の公園をランニングをしよう」と決意した途端、
偶然出会ったアメリに恋をします。
そんなことあるかい!っていう方もいると思いますが、
自らの意思で何かを決めると、不思議ないいことって起こるものです。
この前半部分に出てくるランニングシーンが
さりげないけれど、とっても印象的で。
朝の木漏れ日の美しさや、
画面外から聞こえてくる鳥のさえずり、
そして澄んだ空気までもが、肌感覚で伝わってきます。
まるでアルマンのときめきそのものが表現されているかのような映像で、
観ているだけで心が躍ります。
わずか数分のシーンではありますが、「なんかいいんだよねー」という
感覚的な魅力に溢れているのです。
鑑賞後、翌朝のランニングは、
いつも以上に清々しい気持ちで走ることができました。
もし体を動かそうか悩んでいる方は、
まずは本作を鑑賞してから検討してみるのもいいかもしれません。
※ちなみに『メニルモンタン 2つの秋と3つの冬』は、
ぼくが2015年に観た600本ほどの中の第5位に輝いた作品なのでした。
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映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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