世の中すべてのオトナが、個人事業主になったら?
そんなことを、昨年から悶々と考えています。
政治や事件、ニュースを見ていると、
その多くが"組織の弊害"としか思えない出来事がたーくさんあって。
自己責任だったら絶対にしないでしょ?
ということも、「上に言われたから、しょうがない」という論理でまかり通ってしまう。
とても狭い世界の中で。
結果押しつぶされてしまう、大事な大事な個性。
そもそも、
"私が私のままでいてはいけない"なんてあってはならないし、言語道断。
どう考えたっておかしいわけです。
学校、会社、チーム、どんな環境にいようとも、
まずは"私のまま"でいることが大前提。
組織に個を合わせるのでなく、
"多様な個の集合体"としての組織じゃないといけないと思うんです。
世の中すべてのオトナが個人事業主になったら…
僕は、そんな妄想から始めてみることにしましたが、
同じように、ひとりひとりが安心して自分でいられる社会を願う人に、
ぜひ観ていただきたいのが、
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』です。
合言葉は、「私は私のままでいい」。
ストーリーはこのようになっています。
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しっかり者の長女メグ、活発で信念を曲げない次女ジョー、
内気で繊細な三女ベス、人懐っこく頑固な末っ子エイミー。
女性が表現者として成功することが難しい時代に、
ジョーは作家になる夢を一途に追い続けていた。
性別によって決められてしまう人生を乗り越えようと、
思いを寄せる隣家の青年ローリーからのプロポーズにも応じず、
自分が信じる道を突き進むジョーだったが…
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本作は副題にもあるように、
ルイーザ・メイ・オルコットの自叙伝的小説で、
今や世界中で知らない人はいないほどの名作文学「若草物語」を映画化したものです。
サイレント時代から数えると、今回で7度目の映画化になりますが、
そうした古典作品だからこそ際立ったのが、
監督を務めたグレタ・ガーウィグの作家性。
初の単独監督作『レディ・バード』が半自伝的なストーリーだったように、
自立した女性像を持っている彼女は、
主人公ジョーの中に「現代性」というエッセンスを混在させました。
時代に合った価値観を押し付ける編集者には平然と反発するし、
「女性の幸せが結婚だけなんておかしい」とメグの選択にも異を唱える。
そんな彼女の主張は、現代の僕たちの感覚に合致します。
そして、最も彼女らしさが表れたのが、
原作とは異なる"あの"ラストシーンです。
「今さら若草物語?」と批判していたうるさ型への強烈なアンサー。
グレタは、最高に素敵な答えをラストに用意してくれています。
きっと、「私は私のままでいいんだ」と心から勇気づけられはず。
どうぞお楽しみに。
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『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
ブルーレイ&DVDセット 5,217円(税込)
発売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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