僕のInstagramでは、
映画の中のデザイン、ファッション、オフショットなど、
作品を構成する一部分にフォーカスをし、
それにハッシュタグをつけ、いろいろな映画を紹介しています。
たとえば。
◆ #キノイグルーのこのシーンが好き
個人的に心が動いた名シーンにフォーカス。
『はじまりのうた』(2013) 互いのプレイリストをシェアしながらの夜の散歩。
『ラブ・アクチュアリー』(2003) 画用紙をめくっての告白シーン。
◆ #キノイグルーの映画の中の赤
画面の中の赤色に注目!
『彼岸花』(1958) 小津映画で有名な赤いヤカン。
『リトル・ミス・サンシャイン』(2006) オリーブちゃんの赤い衣装
◆ #キノイグルーの読書する人々
読書をする姿の美しさに注目!
『アメリ』(2001) ベッドでの読書。
『ビフォア・サンライズ』(1995) ユーロスターでの読書。
このように映画の魅力を、
Instagramらしく"絵的"な面から楽しんでもらおうと思い、
日々、楽しみながら更新を続けております。
今回のお題である"おしゃれな愛用品"に近い企画となると、
「#キノイグルーのめがねコレクション」というものがあります。
『めがね』(2007) の小林聡美さんを始め、
素敵なメガネをかけた人物を画像付きで紹介するのですが、
過去14回しか投稿していないにも関わらず、
すでに2回紹介している映画があり、それこそが『8 1/2』になります。
つまり、1本の映画の中に素敵な"メガネビト"が2人いたということ。
しかも、ともにメインキャストという珍しいパターン。
(通常はキャラ分けのために、メガネは1人にしがちです)
そんな映画。
まずは、ストーリーからご確認ください。
***
映画監督グイドは温泉地に療養にやってくる。
新作の撮影準備を進めてから5か月が過ぎ、
クランクインが遅れているにもかかわらず、
愛人や妻、知人たちの幻影に悩まされ
映画の構想はまったくまとまらない。
療養中も亡き両親の姿や少年時代の思い出がよみがえり、
やがて彼は混乱してしまう…
***
素敵な"メガネビト"とは、
ともにイタリアを代表する名優であり、
本作では夫婦役を演じたマルチェロ・マストロヤンニとアヌーク・エーメ。
夫婦でメガネという設定だけでなく、
ともに黒縁メガネなのだからフェリーニの大胆さには驚きます。
さすがは巨匠。やることが違います。
マストロヤンニがかけているのは、黒縁のウェリントンタイプ。
もっともかけやすいと言われるクラシックなタイプながら、
彼のは縁が太めで、重厚感あり。
でも、絵に描いたような二枚目の彼がかけると、
ヌケ感が出て、やわらかさ、親しみやすさを感じます。
かけたりかけなかったり、時にはサングラスに変わったり。
そんな気分に合わせたスタイリングも含め、
グイドというキャラクターによくマッチしたアイテム使いだと思います。
一方、妻のアヌーク・エーメは、ほぼ全編でメガネをかけています。
同じ黒縁でもマストロヤンニとは対照的な細めのスクエア型で、
彼女が持っている近寄りがたくも美しい魅力を、
より一層引き立ててくれる最高の小道具に。
これぞ大人の女性!といった媚びない知的な雰囲気が漂っていて、
本当に素敵な役柄なのです。
さらに、スカーフやストール、何種類も登場する帽子など、
目に映るすべてが、上品かつおしゃれ!
その年のアカデミー賞では、
衣装担当のピエロ・ゲラルディが衣裳デザイン賞を受賞したほど、
見どころの多い作品となっています。
映画史に名を残すイタリアの巨匠フェリーニの代表作は、
ストーリー展開だけではなく、
登場人物の愛用しているアイテムにも、ぜひご注目を。
Buon divertimento!
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『8 1/2』
Blu-ray 6,380円(税込)
発売元:株式会社IMAGICA TV
販売元:KADOKAWA
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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