キノ・イグルーの週末シネマ​ no.23
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ムーミン パペット・アニメーション|しんみり?晴ればれ?疲れた時に触れたい物語

文:キノ・イグルー 有坂塁

ムーミン パペット・アニメーション|監督:マリア・リンドバーグ他(1979年・ポーランド)

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2017年11月24日作成



ああ、疲れた…

そんな方は、四の五の言わず、

『ムーミン パペットアニメーション』を観ましょう。

たかが映画なんて、思わないでください。


本作を鑑賞するということは、

いわば、温泉に入るのと同じ。

カラダの芯から温まるような、

リラックス効果が抜群なのです。



誠実だけど、ちょっと気の弱いムーミントロール。

すばらしく優しいムーミンママ。

情にもろく、向こう見ずなムーミンパパ。

孤独を愛する、冒険者のスナフキン。

チャーミングなスノークのお嬢さん。

意地っ張りで癇癪持ちのミイ。



これら、かわいいキャラクターだけでも癒されますが、

今回のポイントはセル画ではなく、

"パペットアニメーション"という部分です。


パペットは、フェルト生地で作られているので、

その優しい質感とぬくもりに癒されます。

そしてこれらは、一コマ一コマ丁寧に撮影された、

ストップモーションアニメとして、仕上げられています。

この手作り感あふれれる、ぎこちない動きに、

言いようのない安心感を感じるのは、

きっと、ぼくだけではないはず。


そして、ムーミンといえば、

ちょいちょい飛び出す名言がまたいいんです。


たとえば、ムーミンママ。

「さあ、あしたもまた長い、いい日でしょうよ。

しかも、はじめからおわりまでおまえのものなのよ。

とてもたのしいことじゃない!」



たとえば、ミイ。

「縛らないことよ、自分で自分を。

わたしはかわいい、わたしはブス。

わたしは賢い、わたしはダメ。

わたしはモテる、わたしはモテない。

あなた、自分をすぐ何かに決めつけようとするでしょ。

本当の自分を見つけるのは、もっとずっとずっと先の話。

今することは、一生懸命迷うことよ。」

そんな鋭いことを、しれっと言い放ったりするのです。



ね、素晴らしいでしょ。

ムーミンは、癒しと同時に、やる気まで与えてくれる、

ありがたい存在なのです。


1話が10分程度なので、

毎晩1話ずつ観るのもいいかもしれません。

それでも全50話収録されてるので、

ぜんぶ観るのに、2ヶ月近くはかかるのですが。


そんなムーミン漬けの冬があっても、

いいのではないでしょうか。

映画選定・執筆

有坂塁
キノ・イグルー 
有坂塁
キノ・イグルーは、2003年に有坂塁が渡辺順也とともに設立した移動映画館。
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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