映画と空間といえば、
かつて下北沢にあった名店「CICOUTE CAFE」は、
アキ・カウリスマキ映画にインスピレーションを受け、
空間作りをしたのだそう。
さらに三軒茶屋「Nicolas」は、
ゴダールの『女は女である』に出てくる
キャバレーを再現したいとの想いから、
床のタイルまで同じものを使用。
このように空間作りや模様替えのときに、
映画を参考にしてみるって、意外と楽しいと思うのです。
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今回ご紹介するウェス・アンダーソンは、
上記の2人のように細部にこだわる監督なので、
ものすごくインスピレーションを刺激されます。
中でも『ザ・ロイヤル・テネンバウムス』は、
出てくる空間が、いちいちおしゃれ。
たとえば。
病院なのに、病室の壁の色は淡い水色で、
そこに不思議なタッチのイラストが描かれていたり、
真っ黄色のテントには、
なぜか宇宙柄の布地が貼られていたり。
はたまた元天才少女マーゴの部屋は、
大好きな本をインテリアの一部として使いつつ、
壁は真っ赤でゼブラの絵が書いてあり、
アフリカンテイストなオブジェまで置いてあるのです。
この独特な世界観を作ることができる、
ウェス・アンダーソン、さすがです。
何でもアメリカでは、
本作をヒントに作られたホテルまであるのだそう。
ヨーロッパの影響を受けている彼の作品が、一周して、
アメリカにまた新しい感覚を与えているというのも、
なんだか素敵な話です。
気に入った方は、『グランド・ブタペスト・ホテル』もぜひ。
1930年代当時の東欧の雰囲気をウェス流に作り上げていて、
こちらも見ごたえ十分です。
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『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』
DVD 1,429円+税
好評発売中
(C)Touchstone Pictures.
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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