キノ・イグルーの週末シネマ​ no.59
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スモーク|その視点、新しい!日常がきらめくヒント

文:キノ・イグルー 有坂塁

スモーク|監督:ウェイン・ワン(1995年・日本/アメリカ)

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2018年08月03日作成



みなさん、ライフワークってお持ちですか?


ぼくには「映画ノート」というものがあります。

といっても、映画の鑑賞記録ではなく、いわば出会いの記録のようなもの。

仕事やプライベートなどで出会ったさまざまな人たちに、

"自分の好きな映画"を、1ページで好きなだけ書いてもらう、

というプロジェクトです。


ものの数分で50本近く書く人や、

『紅の豚』1本という潔い良い人まで、

選び方や書き方に、それぞれ個性が浮かび上がってきて、

なんとも面白いのです。


このノートを、25年、つづけています。

ノートは8冊目、3,000人近くの方に書いていただきました。

続けることからしか見えないものがあると、ぼくはかたくなに信じています。


それは、もしかすると、

映画『スモーク』の主人公オーギーから学んだのかもしれません。

無意識のうちに。


本作は、アメリカの人気作家ポール・オースターが発表した

短編小説「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」を元にしたヒューマンドラマ。

1995年の日本公開時は恵比寿ガーデンシネマで

25週に渡るロングランを記録した不朽の名作映画です。


***


1990年ブルックリン――。

街の片隅で煙草屋を営むオーギーは10年以上にわたり、

毎日同じ場所で同じ時刻に写真を撮影している。

煙草屋の常連客である作家ポールは、数年前に妻を亡くして以来、

スランプに陥っていた。

ある日、ポールは路上で車にひかれそうになったところを

ラシードという少年に助けられ、彼を2晩ほど自宅に泊めてあげることに。

その数日後、ポールの前にラシードの叔母だという女性が現われ…


***


そう、オーギーは、ブルックリンの一角でタバコ屋を経営しながら、

10年以上もの間、毎日、同じ場所で、同じ時刻に、

店の前の街を写真に撮っているのです。


そしてこれらをまとめたアルバムをポールに見せるとき、

彼はこんな言葉を投げかけます。


「ゆっくり見なきゃダメだ。

同じようでも、一枚一枚、全部違う。

よく晴れた朝、曇った朝。夏の陽射し、秋の陽射し。ウィーク・デー、週末。

厚いコートの季節、Tシャツと短パンの季節。同じ顔、違った顔。

新しい顔が常連になり、古い顔が消えてく。

地球は太陽を回り、太陽光線は、毎日、違う角度で差す。」


ここから、物語は大きく動き出すのです。予想もしない方向に。

こんな素敵なドラマを見てしまったら、

あなたも自分らしいライフワークを見つけたくなるはず。


この週末が、その第一歩となりますように。


************************************************
『スモーク デジタルリマスター版』
Blu-ray 3,800円+税
発売・販売元:ポニーキャニオン
(C)1995 Miramax/NDF/Euro Space

映画選定・執筆

有坂塁
キノ・イグルー 
有坂塁
キノ・イグルーは、2003年に有坂塁が渡辺順也とともに設立した移動映画館。
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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