「こんなときこそ、スカッとしたアクションを!」
とは、さすが編集部Kさん。
世の中の空気を敏感に感じ取った鋭いお題。
ところでみなさんは、
そもそもアクション映画はご覧になるのでしょうか?
一口にアクションといっても、
ヒーローものから、パニック、ギャング、スパイ、戦争、カンフー、
はたまた時代劇ものまで、様々なジャンルが存在しています。
王道となると、やはり『ダイ・ハード』や
『ワイルド・スピード』などのヒーローアクションでしょうか。
ハリウッドが得意とする、スケールが大きくて、
派手で、スターが大活躍する、あれです。
もしアクション映画を薦める相手が、
昔のぼくのような映画を観ない体育会系男子であれば、
そんなヒーローアクションで間違いないでしょう。
しかし、こういった派手な映像と音響にストレスを感じる人もいます。
展開が目まぐるしすぎて、置いてきぼりを喰らってしまう。
体内のリズムと映画のテンポがどうしても合わない。
そんな方には、1960年代のレトロなアクションがオススメ!
編集のリズムはゆったりで、効果音もやわらかい。
しかも、色彩やファッションなど、おしゃれな作品がいくつもあるのです。
今回はその中でも、個人的に偏愛している1本
『ミニミニ大作戦』をご紹介したいと思います。
まずは、内容の方からご確認ください。
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ロンドンの刑務所を出所した泥棒チャーリーは、
イタリアのトリノで400万ドルの金塊を強奪する仕事に取りかかる。
服役中の泥棒仲間ブリッジャーの助けを借りたチャーリーは、
コンピューターや車の運転など各分野のスペシャリストを結集し、
マフィアに脅されながらもイタリアへと乗り込む。
彼らは夜のトリノを停電させ、
さらに交通管制センターのプログラムを麻痺させる。
そしてそのスキに金塊を強奪し、警察とマフィアから逃げ回る…
***
ミニミニ大作戦のミニとは、名車ミニクーパーのこと。
本作は、色彩豊かなヴィンテージのミニクーパーが大量に登場するという、
前代未聞のカーアクション映画となっています。
イギリスの象徴とも言うべき、
赤、白、青のユニオンジャックカラーのミニクーパーと、
イタリア警察のアルファロメオが、
イタリアの市街地を縦横無尽に駆け回る!
この言葉だけで、きっとクラシックカー好きのみなさんは
グッと来てしまうことでしょう。
しかもこの映画を特別にしているのが、その設定です。
よくある"泥棒vs警察"というだけではなく、
"イギリスvsイタリア"という戦いにもなっている。
原題『The Italian Job』という言葉も、
トリノで金塊を盗もうという窃盗団の《イタリアでの大仕事》という意味と、
イギリス人に好き勝手やられている《イタリア人(警察)の仕事はこの程度》
という意味がダブルミーニングになっている。
この皮肉な感じが、いかにもイギリス人。
でもそんなタイトルにも関わらず、
イタリアの人たちは、気持ちよく撮影を許可したというのだから素敵です。
イタリア人の勝ち!笑
サントラを担当したのは、音楽界のレジェンドであるクインシー・ジョーンズ。
モンドなジャズやサイケロックをベースにした
軽快なスコアが楽しめるところも、この映画の大切なポイント。
クインシーのおかげで、どれだけおしゃれな作品になったことか。
そんな全編にわたって、"楽しませよう精神"にあふれたカーアクションは、
ストレス解消にもってこい!
宮崎駿監督『ルパン三世 カリオストロの城』のモチーフにもなっているそうなので、
こちらのファンの方も、ぜひご覧になってみてくださいね。
※2003年のリメイク版と間違わないよう、ご注意を!
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『ミニミニ大作戦 スペシャル・コレクターズ・エディション』
DVD 1,572円(税込)
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
※2021年5月の情報です。
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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