映画好きになって、26年。
これまで数えきれないほどの人から、映画話を聞かせていただいているのですが、
そこから読み解く限り、女性が圧倒的にSF映画へ苦手意識を持っていることは、
すぐにわかります。
たとえば『スター・ウォーズ』
たとえば『2001年宇宙の旅』
たとえば『ゼロ・グラビティ』
苦手な理由を聞いてみると、おおよそこんな意見になります。
「日常を描いた作品が好きなので、
スケールが大きすぎる宇宙にそもそも興味が持てないんです」
みなさんはいかがでしょうか?
そんな方に巡り合ったとき、
待ってました!とばかりにこう言い放ちます。
「ぼくを信じて『ギャラクシー・クエスト』を観てください!」と。
その瞬間、みなさん目をキラキラさせてくれるのですが、
それも束の間、DVDのパッケージを見せた途端、
笑えるほどに不安な表情へと変化するのです
(絶対おもしろくないでしょ…という心の声とともに 笑)
でも。自信満々でこう返します。
「大丈夫!騙されたと思ってぜひ!」と。
***
放送打ち切りから20年を経た今も
熱狂的なファンを持つSF番組「ギャラクシー・クエスト」。
今日もある都市で、ファンミーティングが開かれていた。
が、招待された出演者の前に奇妙な4人組が現れ、
"自分たちの星を侵略者から守って欲しい"と助けを求めてきた。
最初は冗談と思った出演者たちだったが、
彼らは本当の異星人で、番組そのままの宇宙船も用意していた…
***
という、奇想天外な設定の本作。
SFドラマの中で宇宙船の乗組員を演じた俳優たちが
ファンのお遊びに付き合ったつもりが、
連れて行かれた先は、なんと本当の宇宙だった!
なんて、コメディとしては100点満点の内容ですよね。
でもここだけ切り取ると、
大多数の人にオススメするには、ちょっと弱いんです。
アメリカンコメディにアレルギーがある人もいますし、
B級映画の香りもプンプンしますから。
でも。
もし、ここに泣きの要素が加わったら…
そう、『ギャラクシー・クエスト』という作品は、B級SFではなく、
どちらかと言うと、『クール・ランニング』や
『リトル・ミス・サンシャイン』に近い、
笑えて泣けるタイプのSFヒューマンドラマなのです!
え、嘘みたいでしょ?笑
正直ぼくも最初は疑いしかありませんでしたが、
今となっては、紛れもなく1999年を代表するレベルの1本だと思うし、
老若男女、誰にでも自信を持ってオススメできる作品と言い切れます。
奇想天外な設定に負けない、ワクワクするストーリー展開。
ラスト30分は興奮の連続!
番組を愛する出演者とファンたちとの情熱が、奇跡を起こしていく過程なんて、
もう胸アツすぎて、何度観ても涙してしまいます
(すみません、うまく言葉にできない…)。
大人になっても夢を持ち続ける純粋な心は、本当に大事。
これから観られるみなさんが、羨ましくてたまりません!!
名作SF『スター・トレック』をモチーフにしているものの、
まったく観たことがなくても楽しめますので、ご安心を(ぼくも当時は未見)。
サクッと観られ、エンタメ性にも溢れてて、
笑えるのに、深いテーマ性も提示される、映画のお手本のような一作。
ぜひ気の合う仲間と一緒に、
お酒でも呑みながら楽しんでもらえればと思います。
ネバーギブアップ!ネバーサレンダー!
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『ギャラクシー★クエスト』
Blu-ray 1,886円+税
DVD 1,429円+税
発売元: NBCユニバーサル・エンターテイメント
※2021年1月の情報です。
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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