キノ・イグルーの週末シネマ​ no.267
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マリー・アントワネット|センスあふれる ファションに釘づけ!

文:キノ・イグルー 有坂塁

マリー・アントワネット|監督:ソフィア・コッポラ(2006年・アメリカ)

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2022年07月29日作成



90年代カルチャーの恩恵を受けてきた身としては、

映画とファッションを語る上で、

"ソフィア・コッポラ"の名前は無視できません。


巨匠フランシス・フォード・コッポラ(ゴッドファーザー)の愛娘であり、

母は映画セット・デザイナーから、80歳にして映画監督デビューも果たした

エレノア・コッポラ(ボンジュール、アン)。

兄・ロマンも『CQ』で映画監督デビューしたのち、

制作や第二班監督としても活躍し、

さらに俳優のニコラス・ケイジや

ジェイソン・シュワルツマンは従兄弟にあたり、

『ロッキー』のエイドリアンことタリア・シャイアは叔母にあたる人物と、

まさに映画界最強のサラブレットと言っていい存在、

それがソフィア・コッポラなのです。


その華麗なる一族の中にあって、彼女自身のキャリア形成は少し独特でした。

最初に選択した業種は、映画ではなくファッション業界。

15歳でインターンとしてシャネルで働き、

その後カール・ラガーフェルドの元でデザインを学び、

「X−GIRL」を立ち上げたキム・ゴードンの影響を受けに受け、

23 歳にして自身のブランド「MILK FED.」を立ち上げることになったのです。


そんな90年代に巻き起こったガーリー・カルチャーをも牽引した

ファッションデザイナーが表現する映画内ファッションは、

もはや"素敵"としか形容しようがなく。

中でも、その溢れんばかりのセンスが十二分に発揮されたのが

『マリー・アントワネット』でした。

世界的に有名なフランス王妃の半生を、

才女ソフィアが監督すると、いったいどんな映画になってしまうのか。


まずはストーリーからご確認ください。


***


オーストリア・ハプスブルグ家の末娘マリー・アントワネットは14歳で、

フランスのルイ・オーギュスト(後のルイ16世)と結婚。

格式を重んじるヴェルサイユ宮殿での生活に始めは戸惑うものの、

盛大な晩餐会やファッションリーダーとして贅沢三昧の日々を送っていた。

4年後、ルイ15世は急逝し、若いふたりは王位を継承する。

ほどなくしてマリーは待望の世継ぎを出産。

わが子を心の拠り所とするのだが、

魅力的なフェルゼン伯爵と逢瀬を重ねたこともあった。

一方、財政難に困窮したフランス国民は各地で暴徒と化していき…


***


このあらすじだけを読むと、

これまでにもあった重厚な歴史劇のように感じるかもしれませんが、

監督がソフィアなので、もちろんそこは違います。


彼女が心を動かされたのは、

「ヴェルサイユ宮殿に嫁いだアントワネットが、当時14歳だった」という事実。

そしてここがすごいのですが、

彼女は大胆にも、歴史上の人物をあくまで一人の女の子と見立て、

パーソナルな"青春映画"に仕立て上げてしまったのです。


歴史劇に必須な時代考証も意識せず、

自らのクリエイティビティを最優先に

まったく新しい『マリー・アントワネット』を作ってしまいました。

一見ふわっと見えるソフィアですが、芯が強い!


そんな彼女の描くガーリーな青春宮廷絵巻の中でも、

やっぱり目を奪われるのは めくるめく華やかでキュートな世界観。


たとえば。

「パンが無ければ、お菓子を食べればいいじゃない」

の名言を残したアントワネットらしく、

マカロン、ケーキを楽しむシーンがいくつも登場するのですが、

このスイーツ監修をしたのが、パリの老舗パティスリー「ラデュレ」。

どうやらラデュレのカラフルなマカロンが、

ソフィアのイメージする作品世界にピッタリはまったそうで、

結果、このマカロンカラーは映画全体のキーカラーとなっていきます。


それは、ファッションにも。

マカロンのような淡い色のドレスは、

リボンやフリルなど全体的にガーリーなテイストで、

それらが、まるで着せ替え人形かのように

シーンが変わるたびに何着も楽しめます。

その数、アントワネットだけでも何と60着以上!

さすがは元ファッション・デザイナー、気合の入り方が違います。


18世紀的なワイヤー入りの大きなドレスを活かしつつ、

ソフィアらしい現代性も表現した衣装は、

イタリア人デザイナーのミレーナ・カノネロが担当。

その独創的な衣装は、各方面からも高い評価を受け、

結果、第79回アカデミー賞では

"衣装デザイン賞"を受賞することとなったのです

(カノネロは、『グランド・ブタペスト・ホテル』でもオスカーを獲得!)


最後に。

劇中に登場する靴の数々は、

世界を代表する「マノロ・ブラニク」が

この映画のために捧げたオーダーメイドのものになるのですが、

なんと!

ある場面で一瞬だけ"コンバース"のスニーカーが映っています。

色は、もちろんマカロンカラーで。

ぜひ探してみてくださいね。

映画選定・執筆

有坂塁
キノ・イグルー 
有坂塁
キノ・イグルーは、2003年に有坂塁が渡辺順也とともに設立した移動映画館。
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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