この1年半ぐらい。
お腹がよじれるほど笑ったり、
「やったー!」なんて大喜びする機会減ったなぁ、そんな気がします。
というより、感情にセーブをかけ続けている感覚と言いますか。
長く続いた緊急事態宣言が解除されても、
「気を緩めちゃいけない」「冬の間に第六波が来るんだし」なんて気持ちが働き、
素直に喜べない。斜に構えてしまう。
でも本当は、お酒を飲みに出かけたって、
フェスに行ったって、旅行(国内)をしたって、
今はいいんです!!
みんなでコツコツがんばって獲得した自由。
まずは120%の気持ちで喜び、
縮こまった心を解放してあげることが何より大事ですよね。
(もちろん、感染対策は続けながら)
海外旅行も、いよいよ現実的なものになってきました。
一時は、向こう何年も無理だと思ってたインド旅行さえも…
やっぱりいま行けるなら、圧倒的な体験をしたいですよね。
映画みたいな非日常を。
そういった意味で、夢の旅先はインドです。
まだ一度も訪れたことのない、僕にとっての未開の地。
沢木耕太郎の紀行小説「深夜特急」で初めて興味を持ち、
映画『ダージリン急行』でその気持ちは決定的になりました。
今回は、そのインドを舞台にしたロードムービーをご紹介したいと思います。
まずは、内容からどうぞ。
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長男フランシス、次男ピーター、三男ジャックのホイットマン3兄弟。
彼らはフランシスの提案で、インド北西部を走るダージリン急行に乗り合わせた。
旅の目的は、父の死をきっかけに1年ものあいだ絶交状態にあった
兄弟の結束を再び取り戻すこと。
バイク事故で瀕死の重傷を負い、奇跡の生還を果たしたばかりのフランシス。
兄弟から父の遺品を独り占めしたと非難され、
妊娠7ヵ月の妻アリスとも上手くいっていないピーター。
そして、家族をネタに小説を書き上げたばかりのジャックは、
失恋の痛手を引きずっていた。
それぞれに問題を抱える3兄弟は、早々に衝突してしまうが…
***
監督は、『グランド・ブダペスト・ホテル』や『犬ヶ島』など、
オリジナリティ溢れる作風で世界の注目を集めている、ウェス・アンダーソン。
最新作『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(タイトル長っ!)も
2022年1月28日から全国公開されますので、
ぜひ、予習も兼ねて『ダージリン急行』をお楽しみいただければと思います。
この映画は、役者・映像・音楽と、すべてが魅力的です!
いい加減だけれど愛のある3兄弟を演じるのは、
オーウェン・ウィルソン、エイドリアン・ブロディ、
ジェイソン・シュワルツマンという名バイプレイヤー。
彼らのクセの強さをウェスらしい味付けで、
最高にチャーミングにキュートに描いています。
映像は、ウェスの代名詞とも言える"美しい構図と横移動のカメラワーク"に加え、
超カッコいいスローモーションも披露しています。
ここは、エモーショナルな名場面。バックに流れる音楽にも注目です!
その音楽はというと。
インドの巨匠サタジット・ レイ監督の音源を
あたかもオリジナル・スコアのごとく使いまくり、
そこにキンクスやローリング・ストーンズ、
さらに大ネタ「オー・シャンゼリゼ」までもミックスするという華麗な選曲に。
大胆すぎるやろ!
もちろんロードムービーということで、
インドの風景もたくさんお楽しみいただけます。
実際の鉄道路線に撮影列車を走らせたということで、
車窓から見える風景はすべて本物だそうです。
田舎の村の様子。寺院の中。修道院からの風景。
これぞインド!というエキゾチックな光景に目を奪われっぱしの91分。
未来の旅の選択肢に"インド"が加わることを覚悟して、
お楽しみいただければと思います。(チャイでも飲みながら)
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『ダージリン急行』
Blu-ray 2,096円(税込)
デジタル配信中
発売:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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