映画には"コミュニケーション"としての可能性が無限大にある!
と考えている僕は、これまで何千名もの人たちと、
楽しく映画について語ってきました。
家族や親戚、友人たち、仕事でお世話になった方々、
プロの映画監督・俳優のみなさん、
酒場で知り合ったおじさんやマダム、
小学生から大学生まで多くの学生さんたち。
みなさんと話せば話すほど、
映画の好みは"千差万別"だという当たり前の事実がハッキリします。
みんな違ってみんないい、ということ。
たとえば。
SFというジャンルで、
映画史の傑作といえば『2001年宇宙の旅』となりますが、
より人気があるのは『スターウォーズ』だし、
多くの涙を誘ったという観点なら『アルマゲドン』になる。
つまり、映画の"どこ"を楽しむかというポイントは、
みんなそもそも違うわけですね。
そしてその"多様性"こそが、映画の素晴らしさだと思うんです!
その一方、大多数の人を満足させるスペシャルな映画も、
ごくわずかに存在します。
映画の知識の有無とか、
アート系・エンタメ系なんてこだわりさえも超越してしまう圧倒的な作品が。
その筆頭が、1980年のアメリカ映画『ブルース・ブラザーズ』。
今回、「心を元気にしてくれる映画」というデリケートなお題に対し、
本気で1人でも多くの人に元気になってもらいたいと思い、
本作をセレクトしました。
この映画なら、きっと、好みを超えてくれる。
まずは、内容からご確認ください。
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黒い帽子に黒のサングラス、黒いネクタイに黒のスーツという、
全身黒づくめのジェイク・ブルースとエルウッド・ブルースは、
ちぎりを交わした兄弟分。
そのブルース兄弟が昔世話になった孤児院が、窮地に陥った!
彼らは孤児院を救おうと、
かつての仲間を集めて"ブルース・ブラザース・バンド"を再結成し、
そのコンサートの利益を孤児院に寄付しようとするが…
***
この内容でもお分かりの通り、
本作は、黒づくめファッションの悪ノリコンビが、
スクリーン狭しと大暴れするコメディであって、
決して、わかりやすい感動作などではありません。
常に120%フルスロットルで、エネルギッシュな超本気のコメディ。
「みんなを楽しませたい!」という気持ちに溢れていて
笑いも、カーアクションも、音楽も、ダンスも、
映画を構成するすべての要素が、規格外でパワフル!
本気のエネルギーが画面から溢れ出ちゃっている。
だから、多くの人たちの胸を打つわけです。
理屈ではなく、
気がつけば、心が元気になってた!というタイプの作品。
その本気度は、音楽ひとつとっても。
本作には、ブルースやR&B、ソウルミュージックといった
黒人音楽に対するオマージュという側面もあり、
そこがまた素晴らしく感動的なのですが、
出演者がなんとレジェンドばかりなんです。
ファンクの帝王ジェームズ・ブラウンを始め、
レイ・チャールズ、アレサ・フランクリンといった、
もはや伝説すぎて映画化されるレベルのミュージシャンたちが、
熱狂的に歌い、踊ってくれる、という贅沢な時間が楽しめます。
ちなみに、ジョン・ベルーシとダン・エイクロイドによるコンビ"ブルース・ブラザーズ"は、
元々、アメリカの大人気TV番組「サタデー・ナイト・ライブ」の
看板キャラクターでした。
その待望の映画化は、脚本の完成が遅れに遅れ、
製作費も止めどなく使われた結果、
コメディ史上最もお金のかかった超大作になってしまったそう。
でも大コケを恐れていた関係者の予想に反し、まさかの凄まじい大ヒットに!
このエピソード自体が、
『ブルース・ブラザーズ』の精神を表してるようで、グッと来てしまいます。
完全にやりっきたんだな、と。
元気になりたいみなさん、
僕を信じて、ぜひご覧になってみてください。
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『ブルース・ブラザース』
Blu-ray: 2,075 円 (税込)/DVD: 1,572 円 (税込)
発売元: NBCユニバーサル・エンターテイメント
※2022年8月の情報です。
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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