挑戦者たち、といえば。
NHKで放送されていたドキュメンタリー番組「プロジェクトX ~挑戦者たち~」が、
すごく好きでした。
主人公が、無名の人々というところに何とも知れず夢があり、
成功の陰の知られざるドラマを見るたび、キノ・イグルー創設直後の僕は、
モチベーションが上がっていたことを昨日のように覚えています。
ルワンダでの義足開発や、Jリーグ創設時のエピソードとか好きだったなぁ。
いま調べてみたら、番組は2005年いっぱいで終了したのですね!
で、その流れを引き継いで、
2006年から「プロフェッショナル 仕事の流儀」が始まった。
こちらはもう15年、いまや国民的番組。
知り合いが出演したこともあり、
いつかは自分も!なんて叶わぬ妄想を繰り広げたりする大好きな番組です。
いつの時代も、挑戦者は偉大なり。
じつは今日紹介する『タイピスト!』も、
レジス・ロワンサル監督がフランスのTVドキュメンタリーで取り上げられていた
タイプライター早打ち大会を見て、映画製作にいたったという一作。
でもこの挑戦者の物語をロマンチック・コメディと絡めてしまうあたり、
さすがアムールの国、フランスです。
そしてその試みは大成功!
こんな内容になっています。
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都会暮らしに憧れて、田舎から出て来たローズは、
保険会社経営のルイの秘書に応募。
晴れて採用されるも、ドジで不器用なローズは、一週間でクビ確定に。
「ただし―」と、意外な提案をもちかけるルイ。
ローズの唯一の才能 <タイプの早打ち> を見抜いたルイは、
彼女と組み世界大会で優勝するという野望を抱く。
その日からルイのコーチ魂に火が付き、地獄の特訓が始まる…
***
1950年当時のファッションやカルチャーが楽しめて、
何もかもがカラフルに彩られたフレンチ・エンターテイメントの決定版!
それが『タイピスト!』です。
主役のローズを演じたデボラ・フランソワが身につける
50'sファッションの何とステキなこと!
まるでファッションショーかのように、
次から次へと50'sファッションが登場します。
花柄のドレスやコットンブラウス。ひざ丈のフレアスカート。
チャコールグレーの後ろボタンワンピース。白黒水玉のワンピース。
リボンのついたパンプス。ビタミンカラーのネイル…
他にも、まだまだ。
観ていてとってもいいなぁと思うのが、
これらのファッションがローズの心の成長とともに、
洋服、メイク、そしてヘアスタイルが使い分けられていくんですね。
環境の変化とともに、ファッションは洗練されたイメージへと変化する。
そんな"THE おしゃれ映画"と言ってもいい『タイピスト!』ですが、
一方で、筋金入りの"スポ根"映画でもあります。
この組み合わせが面白い!
タイピング世界一を目指すための特訓シーンや、
各地から集まった腕に覚えのあるタイピストたちが
一斉にキーボードを打ちまくるコンテストのシーンなど、
およそ、おしゃれ映画とは思えない迫力があり、
女性版『ロッキー』を観ているような気持ちになってくるのです。
「餃子×ワイン」「ワクチン接種×野外BAR」など、
斬新な組み合わせがニュースになる現代において、
「おしゃれ×スポ根」な『タイピスト!』が人気なのも時代の必然。
ぜひこの週末は、そんな"粋"な挑戦者の物語をお楽しみください。
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『タイピスト!』
DVD 1,143円+税
Blu-ray 2,000円+税
発売・販売元:ギャガ
© 2012 – copyright : Les Productions du Trésor – France 3 Cinéma – France 2 Cinéma – Mars Films - Wild Bunch - Panache Productions – La Cie Cinématographique – RTBF (Télévision belge)© Photos - Jaïr Sfez.
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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