夏の恋と、冬の恋って、何かが違います。
目立ちたがりの人は、夏に告白したほうが成功率がアップしそうだし、
シャイな人は、夜が長くなる冬のほうが、
その人自身の魅力をしっかりと相手に伝えられそう。
映画の登場人物なら、
『秒速5センチメートル』(2007)の雪降る駅で待ちぼうけになってしまう少年や、
名作『ゴースト/ニューヨークの幻』(1990)のゴースト役・銀行員サムような人は、
冬の恋のほうがしっくりくる。
対照的に夏は、気持ちが外向きになるため、
想いを伝えずにはいられない!という情熱的な恋があっている。
そこをさらに突き詰めると、
大人よりも、向こう見ずなティーンのラブストーリーが
一番その気分が出るのではないでしょうか。
ということで、今回オススメするのは、
アメリカ人にしか作れないようなスカッと爽快な学園コメディ
『恋のからさわぎ』です。
***
転校生のキャメロン(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、
学校のアイドル的存在のビアンカ(ラリサ・オレイニク)に一目惚れ。
ところがビアンカは、姉のキャット(ジュリア・スタイルズ)が
デートをしない限り誰ともデートをしてはいけないと、父親に約束させられていた。
キャメロンは、ビアンカとのデートを実現させるために、
変わり者で男嫌いのキャットのデート相手を探すことに。
そして、学校のはみ出し者パトリック(ヒース・レジャー)を買収し、
キャットを誘い出すよういろいろな作戦に出るが…
***
本作はヒース・レジャーだけではなく、
『(500)日のサマー』のジョゼフ・ゴードン=レヴィットや、
『ボーン・アイデンティティー』のジュリア・スタイルズという豪華キャストで、
アメリカ公開時には『マトリックス』に次ぐ、初登場2位を記録!
しかしそんな勢いをもったヒット作にもかかわらず、
日本ではなんと劇場未公開に終わってしまったんです。(DVDリリースのみ)
本作の売りは、若手スター総出演というだけでなく、
学園コメディとして抜群のクオリティを誇っています。ちゃんと、おもしろい。
大げさではなく、個人的には歴代の「学園コメディBEST10」に
ランクインするほどお気に入りの1本だったりするのです。
注目ポイントをあげるなら、
やっぱりヒースの熱唱シーンということになるでしょうか。ここは必見です。
まさに夏の恋!っていう気分があふれ出ている、
ときめきの名シーンとなっていますので、どうぞお楽しみに。
そして、さわやかなヒースに恋してしまった!
という方には、ぜひ『ダークナイト』(2008)も観ていただきい。
ジョーカーは悪の化身なため、異なる印象の役どころになってきますが、
ひとりの役者が"陰と陽"を、
ここまでの振り幅を持って体現できることに、感動を覚えるはずです。
ぜひ、そんな怪物的役者と同時代を生きていた幸せを、
この2作から感じとっていただきたいなと思います。
そんなヒースが亡くなって、今年でもう10年です。
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『ヒース・レジャーの恋のからさわぎ』
DVD 1,429円+税
DVD発売中、デジタル配信中
(C)Buena Vista Home Entertainment, Inc.
https://www.disney.co.jp/studio/others/1006.html
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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