自分を変える第一歩は、"習慣"を変えること。
何を考え、誰と会って、どこで過ごすのか。
日々の時間の使い方を変えてみる。
"私"というのは、小さな選択の積み重ねで出来るものなので、
それまでの自分をマイナーチェンジさせるイメージで、
日常を心がよろこぶ方に変化させる。
自分のリズムでゆっくりと。心を整えながら。
なんて、人生相談の解答みたいになってしまいましたが、
でも、その"習慣"を変えていく過程に、刺激的なインプットが加わると、
成長速度は何倍にも増して上がると思うんです。
その刺激物として、ぜひ観てもらいたい映画が、
『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』。
「自分を変えたい」と願うすべての人に、
"二重の意味" で勇気を与える作品となっています
まずは、ストーリーをどうぞ。
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ロサンゼルスにある一流レストランの<総料理長>カール・キャスパーは、
メニューにあれこれと口出しするオーナーと対立し、突然店を辞めてしまう。
次の仕事を探さなければならない時にマイアミに行った彼は、
絶品のキューバサンドイッチと出逢う。
その美味しさで人々に喜んでもらう為に、移動販売を始めることに。
譲り受けたボロボロのフードトラックを改装し、
マイアミ~ニューオリンズ~オースティン~ロサンゼルスまで
究極のキューバサンドイッチを作り、販売する旅がスタートしたのです!
***
このキャスパーという人物、じつはバツイチです。
仕事に一途なゆえに、私生活がうまくいかず、離婚をし、
息子との間にも溝があり、仕事までうまくいかないという、八方塞がり状態。
しかし、周囲の人たちのおかげで、
苦境を脱出するきっかけを彼はつかむことができます。
その人たちの存在なくして、あれほどの幸せを掴めるわけないし、
キャスパーは、そんな自分のことを「人に恵まれていただけ」と言うかも知れません。
でも、思うんです。
それもこれも、彼自身が魅力的だったからなんですよね。
愚直に"心がよろこぶ方"へ突き進んだ、
そのエネルギーの結果なんだな、と。
こんなセリフからも、彼の人柄がわかると思います。
「パパは料理が大好きだ。料理から色んな喜びを与えてもらったからだ。
パパは完璧じゃない。欠点は多いし、良い夫じゃなかった。
良いパパでもないのかもしれない。でも料理は上手い。
だから、お前に教えたい。学んだ事を伝えたいんだ。
料理で人をちょっと幸せにできる。それがパパの喜びなんだよ。
お前もやったら分かるかもしれないぞ。」
どうです?最高ですよね。
そのキャスパーを演じた俳優とは、ジョン・ファブロー。
彼は、『アイアンマン』シリーズの監督も務めるハリウッド屈指の才人で、
本作では、製作・監督・脚本・主演という4役を務めています。
そしてこの映画は、ファブロー自身が
"どうしても作らなければならない"訳あり作品でもあるのです。
過去に、彼が手掛けたメジャー映画は、
プロデューサーに言われるがままに作っていた作品ばかりで、
本当に作りたかったものでなかったよう。
ヒットはするものの、批評家からは「酷評」の嵐で、
次第に、彼の心は疲弊してしまったそうです。
その限界ギリギリのときに企画した作品こそが、
『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』。
「この世でいちばん幸せなことがある。なんだと思う?
自分が一生懸命作ったものを人に味わってもらうことだよ」。
このセリフはダブルミーニングになっていて、
料理のことを言いながら、"映画"という意味にも置き換え可能です。
そう、キャスパー役は、
ジョン・ファブローという人の人生そのものでもあるのです。
そんな"物語"と"実人生"が複雑に重なり合った、
本気のヒューマンストーリー。
自分を変えたい!と悩んでいる方、とにかく観てください。
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『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』
DVD 1,280円(税抜)
発売中
発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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