夢の世界へと誘ってくれるミュージカル映画は、
近年でも『グレイテスト・ショーマン』や『ラ・ラ・ランド』、
『レ・ミゼラブル』などの話題作が作られ続けている
人気ジャンルのひとつ。
せっくなのでその歴史について調べたところ、その幕開けは意外なものでした。
なんと"世界恐慌"がきっかけとなり、
本格的なミュージカル映画は誕生したのだそうです。
ときは1930年代前半。
世界中に巻き起こった経済恐慌の影響をブロードウェイも受け、
ダンサーのフレッド・アステアやジンジャー・ロジャースという
一流の人材が仕事を求め、ハリウッドに流れ込みます。
映画界としては、その稀有な才能を活かさない手はない!
ということで、新ジャンルを確立。
それが当時は存在しなかった《ミュージカルと映画》の融合だったわけです。
そこから10年も経たないうちにミュージカル映画は、
一気に黄金期を迎えることになるのですから、
この組み合わせはよほど相性が良かったのでしょう。
近年は『ヘアスプレー』や『スクール・オブ・ロック』など
著名な映画作品をブロードウェイでミュージカル化するという
逆転現象まで起こっていて興味深いです。
と、前置きが長くなりました。
ではぼく自身のオススメはと言うと、
『雨に唄えば』(1952) や『ロシュフォールの恋人たち』(1967) なども当然好きですが、
リアルタイムで出会えた作品ということで、
今回は『世界中がアイ・ラヴ・ユー』(1996) を紹介します。
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恋の始まりは花咲く春のニューヨーク。
夏のヴェニスで燃え上がり、
クライマックスは光あふれるクリスマスのパリで。
恋する心のときめきを忘れ、
人生を楽しむことまで忘れてしまっている人たちへ、
ウディ・アレンから贈る最高のラヴ・ソング。
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この説明で、もうワクワクしませんか?
さらに、音楽やダンスはもちろんのこと、何気ないセリフや、
各国の美しい街並みまで、何もかもがロマンティック。
旅ごころがくすぐられてしまうこと間違いなしです。
ウディ・アレンはじめ、ジュリア・ロバーツ、ナタリー・ポートマン、
ドリュー・バリモア、エドワード・ノートンなどのスターたちが、
吹き替えを使わずに、
一生懸命に歌とダンスを披露してくれるところもうれしい!
(でもドリューの歌だけは吹き替え 笑)
ウディ・アレン作品なのに、
ネガティブ要素が少なめなのもファンにとっては新鮮です。
恋や人生に喜びを見出し、生きることを謳歌する登場人物たち。
心の底からハッピーになりたいあなたに贈る、魔法のようなミュージカルコメディ。
この週末に、ぜひ。
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『世界中がアイ・ラヴ・ユー ―デジタル・レストア・バージョン―』
DVD 1,800円+税
発売・販売元:株式会社KADOKAWA
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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