かつて「東のディズニー」と呼ばれていた
チェコアニメ。
共産時代、国策として作られていた作品の数々は、
カンヌなど国際映画祭での受賞歴も豊富で、
世界中で高い評価を受けてきました。
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もぐらのクルテク。
かわいい妖精のアマールカ。
チャペック兄弟のおとぎ話。
ポヤルの人形アニメ。
子どもたちのために作品を創り続けたティールロヴァー。
ヤン・シュヴァンクマイエルのアートアニメ。
とても1本に絞ることなんて出来ないほどに、
素晴らしい作品ばかりなので、
こちらは検索して、探してみてください。
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ということで、今回は個人的お気に入りとして、
『ほら男爵の冒険』を紹介したいと思います。
カレル・ゼマン監督は"幻想の魔術師"と称される、
チェコアニメ界きってのファンタジスタ。
切り絵、人形、銅版画、セル画など、
多彩なテクニックを使って、実写とアニメを合成します。
まるで、その不思議な映像は、
こどもの頃におもちゃで夢中になって遊んでいた時のような、
想像力の世界。
だから無条件にワクワクするのです。
本作は、空想好きなほら男爵の奇想天外な大冒険を、
圧倒的なイマジネーションで映像化しています。
大砲の弾の上に乗っかって飛んだり、
馬に乗って海中散歩したり、
火薬の爆風で椅子に座ったまま月まで飛ばされたりと、
小さい頃に親しんだおとぎ話の脱力テイスト満載。
このローテクを極めた不思議な世界は、
一度観るとクセになります。
CGが当たり前の今だからこそ、
あらためて観てもらいたい作品のひとつ。
あ、それと『エターナル・サンシャイン』などの監督、
ミシェル・ゴンドリーが好きな人も、必見です。
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『ほら男爵の冒険』
DVD 3,800円+税
発売元:アイ・ヴィ-・シ-
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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