忘れもしない、2017年8月14日。
この日は、キノ・イグルーにとって、
エポックメイキングな日であり、
雨の日も悪くない、と感じられた一日となりました。
恵比寿ガーデンプレイスの中央広場で開催する「ピクニックシネマ」8日目は、
あいにくの雨模様でした。
といっても、どしゃ降りではなく、朝から降ったり止んだりが続く微妙な天気。
中央広場には屋根が付いているため、多少の雨であれば問題ないのですが、
雨風が強まれば、即刻上映中止。
しかしその日の上映作品は『雨に唄えば』だったので、
絶対に中止にはしたくありませんでした。
小雨まじりで『雨に唄えば』を鑑賞するなんて、
こんなスペシャルな体験ありませんよね?
この伝説のミュージカル映画、
みなさんはご覧になったことがあるでしょうか?
今からちょうど70年前の1952年に公開された作品で、
批評家からは「ミュージカル映画史上最高の作品」とも評された逸品です。
まずは、こちらの内容からご確認いただきましょう。
***
ハリウッドの人気スター、ドンとリーナは10本以上の作品で共演する名コンビ。
世間も彼らの結婚は間近だと噂している。
そんなある夜、ドンはコーラスガールのキャシーと知り合い、たちまち恋に落ちる。
やがてドンとリーナの新作の撮影が始まるが、
時代はサイレント映画からトーキーへと転換期を迎える。
彼らの作品も途中トーキーに変更。
ミュージカル化され、なんとリーナの吹き替えをキャシーが務めることになり…
***
トーキー到来期のハリウッドを舞台に綴られる映画スターの恋、
という展開の中で、まさにハイライトと呼んでもいい場面が、こちらです。
"僕は歌う 雨の中で ただ歌う 雨の中で♪
なんて素敵な気分 幸せがこみあげる♪"
ジーン・ケリー演じるドンが、
どしゃぶりの雨の中で歌い踊る「Singin’ in the Rain」。
日本人的にいえば、ピッチピッチ チャップチャップランランランな場面。
(童謡「あめふり」は1925年の曲。もしかして影響を与えた?)
胸がときめいて、心が踊り、雨なんて関係ない!
むしろ大歓迎!という勢いで無邪気に歌い踊り、
観客の心をウキウキさせてくれるジーン・ケリー。
あまりにも楽しそうにタップを踊るものだから、
雨を見るたび、このシーンの真似したくなるのは、僕だけではないはず。
さて。
話を、恵比寿「ピクニックシネマ」に戻します。
当日の天気は不安定ながらも、
「やれるとこまでやります!」と700人近くの観客に宣言し、上映スタート。
しばらく雨は降らなかったものの、
中盤あたりから雨足が強まったため、一時中断したのですが、
まだ「Singin’ in the Rain」のシーンには到達しておらず。
せめてそこまではやりたい!と相方と話したことを覚えています。
雨雲レーダーと睨めっこしつつ、
ずぶ濡れの学生さんに「大丈夫ですか?」と声をかけてみると、
彼は、こんな熱い言葉を返してくれました。
「『雨に唄えば』の上映だから余裕ですっ!」と。
感動!
高まるばかりの一体感。もはや、観客は誰ひとりとして帰りません。
そして10分後。
雨雲の流れが変わるという奇跡が!
湧き上がる歓声。いや、大歓声。
ものすごい熱気の中、上映を再開しました。
「Singin’ in the Rain」の場面では、
目をキラキラ輝かせ、一緒に歌う人が続出。
そこから"THE END"の文字が出る最後の瞬間まで、
とにかく、素敵としか言いようのない時間が流れていました。
そして、割れんばかりの拍手の中、
無事、フィナーレを迎えることが出来たのです。
最後の挨拶。
僕はステージに上がる瞬間に、
気の利いたワードを思い付いてしまいました。
「世界初の『雨に唄えば』4D上映いかがでしたか?」と。
************************************************
『雨に唄えば』
【初回限定生産】日本語音声追加収録版
<4K ULTRA HD & ブルーレイセット>(2枚組)6,980円 (税込)
発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
©1952 Turner Entertainment Co. All rights reserved.
この日は、キノ・イグルーにとって、
エポックメイキングな日であり、
雨の日も悪くない、と感じられた一日となりました。
恵比寿ガーデンプレイスの中央広場で開催する「ピクニックシネマ」8日目は、
あいにくの雨模様でした。
といっても、どしゃ降りではなく、朝から降ったり止んだりが続く微妙な天気。
中央広場には屋根が付いているため、多少の雨であれば問題ないのですが、
雨風が強まれば、即刻上映中止。
しかしその日の上映作品は『雨に唄えば』だったので、
絶対に中止にはしたくありませんでした。
小雨まじりで『雨に唄えば』を鑑賞するなんて、
こんなスペシャルな体験ありませんよね?
この伝説のミュージカル映画、
みなさんはご覧になったことがあるでしょうか?
今からちょうど70年前の1952年に公開された作品で、
批評家からは「ミュージカル映画史上最高の作品」とも評された逸品です。
まずは、こちらの内容からご確認いただきましょう。
***
ハリウッドの人気スター、ドンとリーナは10本以上の作品で共演する名コンビ。
世間も彼らの結婚は間近だと噂している。
そんなある夜、ドンはコーラスガールのキャシーと知り合い、たちまち恋に落ちる。
やがてドンとリーナの新作の撮影が始まるが、
時代はサイレント映画からトーキーへと転換期を迎える。
彼らの作品も途中トーキーに変更。
ミュージカル化され、なんとリーナの吹き替えをキャシーが務めることになり…
***
トーキー到来期のハリウッドを舞台に綴られる映画スターの恋、
という展開の中で、まさにハイライトと呼んでもいい場面が、こちらです。
"僕は歌う 雨の中で ただ歌う 雨の中で♪
なんて素敵な気分 幸せがこみあげる♪"
ジーン・ケリー演じるドンが、
どしゃぶりの雨の中で歌い踊る「Singin’ in the Rain」。
日本人的にいえば、ピッチピッチ チャップチャップランランランな場面。
(童謡「あめふり」は1925年の曲。もしかして影響を与えた?)
胸がときめいて、心が踊り、雨なんて関係ない!
むしろ大歓迎!という勢いで無邪気に歌い踊り、
観客の心をウキウキさせてくれるジーン・ケリー。
あまりにも楽しそうにタップを踊るものだから、
雨を見るたび、このシーンの真似したくなるのは、僕だけではないはず。
さて。
話を、恵比寿「ピクニックシネマ」に戻します。
当日の天気は不安定ながらも、
「やれるとこまでやります!」と700人近くの観客に宣言し、上映スタート。
しばらく雨は降らなかったものの、
中盤あたりから雨足が強まったため、一時中断したのですが、
まだ「Singin’ in the Rain」のシーンには到達しておらず。
せめてそこまではやりたい!と相方と話したことを覚えています。
雨雲レーダーと睨めっこしつつ、
ずぶ濡れの学生さんに「大丈夫ですか?」と声をかけてみると、
彼は、こんな熱い言葉を返してくれました。
「『雨に唄えば』の上映だから余裕ですっ!」と。
感動!
高まるばかりの一体感。もはや、観客は誰ひとりとして帰りません。
そして10分後。
雨雲の流れが変わるという奇跡が!
湧き上がる歓声。いや、大歓声。
ものすごい熱気の中、上映を再開しました。
「Singin’ in the Rain」の場面では、
目をキラキラ輝かせ、一緒に歌う人が続出。
そこから"THE END"の文字が出る最後の瞬間まで、
とにかく、素敵としか言いようのない時間が流れていました。
そして、割れんばかりの拍手の中、
無事、フィナーレを迎えることが出来たのです。
最後の挨拶。
僕はステージに上がる瞬間に、
気の利いたワードを思い付いてしまいました。
「世界初の『雨に唄えば』4D上映いかがでしたか?」と。
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『雨に唄えば』
【初回限定生産】日本語音声追加収録版
<4K ULTRA HD & ブルーレイセット>(2枚組)6,980円 (税込)
発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
©1952 Turner Entertainment Co. All rights reserved.
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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