きっと今ごろ、お盆の真っ只中。
みなさんはこの文章を、どちらでお読みになっているのでしょうか?
僕には田舎がありません。
なので毎年この時期も、キノ・イグルーの野外イベントを行ったり、
涼やかな映画館で古い名作を鑑賞したり(真夏の映画館、最高!)
と、変わらない日々を過ごすことが多いです。
今年は、シネマヴェーラ渋谷の「ジョン・フォード特集」か、
『クレイマー、クレイマー』(1979) &『スタンド・バイ・ミー』(1986)
という目黒シネマの2本立てに行くべきか、絶賛悩み中です。
もし劇場で見かけたら、お気軽に声をかけてくださいね。
さて。
今年はコロナ以降、初となる行動制限のない夏休みということで、
全国各地で"同窓会"が増えているのだそう。
そんな喜ばしいニュースを、先日、目にしました。
数年越しで地元に帰れるわけで、迎え入れる同級生や先生含め、
みんながみんな嬉しい同窓会になるのでしょう。
いいなぁ〜、きっと今ごろ盛り上がってるんだろうな。
同窓会。
僕は一度しか参加したことがありませんが、
100人以上集まったその会は、
印象深い時間として記憶に深く刻み込まれています。
昔は、ベタベタ仲の良かったメンバーが、照れと恥ずかしさから、
どう接していいのかわからない状況に加え、
15年ぶりの再会だったため、
そもそも誰が誰だがわからない問題まで勃発し、
開始30分は味わったことがないような微妙な空気に(笑)
まあ、その後は一気に打ち解け、
30人近い人数のまま、5次会まで行ったのですが…
そんな"同窓会"の風景は、映画でも目にすることが多いですよね。
でもその同窓会自体がテーマにまでなっている『ロミー&ミッシェル』という作品は、
それが故に、特別な1本ということになります。
みなさんは、ご覧になったことあるでしょうか?
まずは、こちらのあらすじからどうぞ。
***
底抜けに明るいロサンゼルスの大都会で
気ままなマイウェイ人生を送る、ロミーとミッシェル。
ダイエットにおしゃれ、夜はクラブで踊りまくり。
ある日、2人に高校卒業10周年の同窓会通知が届く。
「あの同級生達を見返してやりましょうよ。」
夢のサクセス・ストーリーをでっち上げ、
キャリア・スーツでさっそうと故郷に乗り込むが―。
***
どうです、面白そうでしょ?
高校時代からほかの子たちと波長の違っていたロミーとミッシェルは、
底意地の悪い同級生にいじめられたこと自体をモチベーションに変え、
同窓会にぶつけようとしています。
それはまるで、
アクション映画の復讐劇を思わせるような設定なのですが、
そのシリアスな状況を突き抜けた明るさで笑い飛ばしてしまうところが、
この映画の絶対的な素晴らしさだと思います。
その痛快コメディとしての魅力を縦軸としたら、
生き抜くためのポジティブな教訓を与えてくれる横軸も存在しており、
見た目以上に広がりのある作品となっています。
その世界の中心にあるのは、ロミーとミッシェルの友情です。
恋愛の要素はありつつも、決して深く入り込むことはなく、
一貫して2人の友情にフォーカスしてくれる。
おかげで、共感性が高まり、
いつしか観客は、不器用な彼女たちのファンになってしまうのです。
自分らしさを貫いて、楽しく生きたい人、必見の一作!
もちろん、同窓会を控えているみなさんも
予習がてらに、ぜひご覧になってみてくださいね。
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『ロミー&ミッシェル』
ディズニープラスの「スター」で配信中
© 1997 Touchstone Pictures. All rights reserved.
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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