キノ・イグルーの週末シネマ​ no.25
シャネル&ストラヴィンスキー|クラッシックに耳を傾けて優雅な気分に浸りたのカバー画像

シャネル&ストラヴィンスキー|クラッシックに耳を傾けて優雅な気分に浸りたい

文:キノ・イグルー 有坂塁

シャネル&ストラヴィンスキー|監督:ヤン・クーネン(2009年・フランス)

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2017年12月08日作成



せっかく優雅な気分にひたるなら、

クラシックミュージックだけでなく、

視覚的にも満足いただけるものと思い、

『シャネル&ストラヴィンスキー』を選んでみました。


モードと音楽。

時代を代表するふたりに、こんな過去があったとは…


***


パリ、1913年。

ロシアの天才作曲家イゴール・ストラヴィンスキー

《春の祭典》の初演は、観客の罵声と怒声で大混乱に陥る。

その客席には、ココ・シャネルの姿もあった。


7年後。すでに名声を手に入れていたが

愛する人を失ったばかりのココと、

ロシア革命後パリで亡命生活を送っていたイゴールが出会う。

作曲に打ち込めるようにと、ココはイゴールに家族とともに

郊外の自分のヴィラに移り住むよう提案する。

惹かれ合いたちまち恋に落ちたふたりは、

互いを刺激し、心を解放し、

それぞれの中に眠っていた新たな創造力を

次々と開花させていった。


初めての香水創りに魂を注ぐシャネル。

《春の祭典》再演にすべてを賭けるストラヴィンスキー。

そして、ふたりの関係に気づき苦しむ妻カーチャ。

それぞれが選ぶ道は…


***

ココ・シャネルを描いた作品は数あれど、

本作はシャネルのクリエイティブ・ディレクターである

カール・ラガーフェルドの協力を得て製作されています。

それだけあって、シャネルの私物だった美術工芸品や

彼女が暮らした空間や、

プライベートワードローブに基づいた衣裳など

"ホンモノ"を追及することができたのだそう。

加えてシャネルを演じたのは、シャネルのミューズで

女優でもあるアナ・ムグラリスなのです。


ヤン・クーネン監督はこんなことを言っています。

「表情、衣裳、物、

そして編集によるシーンの繋ぎ方」を重視し、

「話し言葉のかわりに、こういった言語を使うことで

素晴らしい視覚表現」を目指した、と。


映画ならではの"優雅"を表現するなら、

物だけでは足りず、技術も合わさってはじめて

この言葉にならない感覚が、

画面から醸し出されるのだと思います。


映画のラストシーン、ストラヴィンスキーがタクトを振る

〈春の祭典〉再演シーンをご覧いただければ

それは、きっと伝わるはず。


『シャネル&ストラヴィンスキー』で、優雅な時間を。


************************************************
『シャネル&ストラヴィンスキー』
Blu-ray 2,381円+税
DVD 1,429円+税
発売中
(C)EUROWIDE FILM PRODUCTION
http://www.disney.co.jp/studio/others/1041.html

映画選定・執筆

有坂塁
キノ・イグルー 
有坂塁
キノ・イグルーは、2003年に有坂塁が渡辺順也とともに設立した移動映画館。
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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