「ぼくは蛇口からコーラを出す!」
これ、小学校のころに「もし発明家になったら何をする?」と
話したときのぼくの答え。
あまりに残念すぎる回答。小学生男子丸出し。
もっと気の利いたこと言いたかったなーなんて長年思ってたのですが、
その思いは『くもりときどきミートボール』を観た瞬間に
一発で吹き飛んでしまいました。
本作は、小学生男子が妄想するようなおバカな発想を
芸術の域にまで高め、
さらにワクワクとドキドキをギュッと詰め込んだ
大エンターテイメント作品に仕上がっていたのです。
***
フリント・ロックウッドの夢は偉大な発明家になること!
しかし、発明は失敗続きで、みんなに迷惑をかけてばっかり…
そんな彼の住む港町では、海で取れるイワシが主食の日々。
イワシ料理にウンザリしていた町のみんなのため、フリントは
コップ1杯の水を好きな食べ物に変える〈食べ物マシーン〉を発明する。
だが、完成したマシーンをみんなに披露したとき、
マシーンは暴走して雲の彼方へ飛んで行ってしまった。
また失敗かと思われたが、町に近づいた雨雲から降ってきたのは、
なんと大量のチーズバーガー!
発明は大成功!
それからはフリントの研究室にあるコンピューターから
食べたい物を入力すれば、何でも降ってくる毎日に。
町のみんなも大喜びで、フリントは一躍ヒーローとなる!
しかし…
***
空から食べ物が降ってくるなんて!
いやー、上には上がいるものです。
食べ物マシーンってアイデアは、ほんとうにスゴい。夢がある。
町にはハンバーガーだけでなく、
アイスクリームやらステーキやらが、雨のように降ってくるのですが、
じつは途中からマシーンの暴走が始まり、食べ物が巨大化していきます。
パンケーキが家をつぶしたり、スパゲティの竜巻が発生したりと、
てんやわんやの大騒ぎになっていくのです。
そして本作はここから、
まさかまさかの、ディザスタームービーへと変化していきます。
さらに、親子の感動的なエピソードまでも絡ませていき…
ここまで完成度の高いアニメーションは、そう何本もあるものではありません。
はっきり言って、傑作です。そしてそのベースになっているのが、
"小学生男子が考えそうなアイデア"というところに、
この映画の大きな魅力がある気がします。
この映画を観て、発明家ごっこをした子どもたちって
きっと、いっぱいいるんだろうと思います。
そこから、未来の発明家だって生まれるかもしれない。
だとしたら、〈リアル食べ物マシーン〉を発明する子が出てきたって、
なんにも不思議ではないですよね。
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『くもりときどきミートボール』
Blu-ray 2,381円(税抜)
DVD 1,410円(税抜)
IN 3D 3,314円(税別)
発売中
発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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