20代半ばにして大人の階段を登りきれていなかった僕に、
テーブルマナーを教えてくれた先輩がいました。
とは言っても、手取り足取りすべてということではなく、
ある言葉によって僕自身が救われたというお話です。
それは、
「難しく考える必要なんてないよ。結局は相手への気遣いや、たしなみだから。」
そんな、さりげない一言でした。
本質を捉えたこの言葉によって、どれだけ心が軽くなったことか。
元来、"大人の常識"的なものが苦手です。
「ルールなんだからしょうがない」なんて言われると、
僕の心はそれを全力で拒否しようとします(笑)
テーブルマナーに関しても同様で、
当初はイヤイヤでしょうがなく、"やらされている感"が強かったのですが、
先ほどの言葉のおかげで、心が解放され、楽になれた。
すると、不思議なことに"学びたい"という気持ちに、
素直にスライドが出来るんですね。
わずかなことですけど、この差は大きい。
きっかけって、本当に大事です。
でも、もしいま同じような悩みを抱えている人がいれば、
僕は真っ先に映画『プリティ・ウーマン』をオススメします。
テーブルマナーを学ぶために、一生懸命努力するジュリア・ロバーツ。
多くの人が共感できるであろうこのシーンを、
ぜひとも、悩める若者に観ていただきたいのです。
その前に、まずは映画の内容からご確認ください。
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実業家のエドワードは、ふとしたきっかけでヴィヴィアンという娼婦と出会う。
"ウォール街の狼"として知られる仕事一筋のエドワードにとって、
無邪気なヴィヴィアンとの出会いは新鮮だった。
彼女にとっても、彼の住む世界は見たことのない眩しいものだった。
2人は、一週間だけのパートナーとして契約を結び、
一緒に暮らしはじめるが…
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"現代のシンデレラストーリー"と称えられた本作。
みなさんはご覧になったことあるでしょうか?
記憶に残る場面、心が浮き立つ音楽など、見どころはたくさんありますが、
とりわけ印象に残るのがテーブルマナーについてのシーンです。
リチャード・ギア演じるエドワードのビジネス・ディナーに
同席することになった娼婦のヴィヴィアンは、
テーブルマナーなど知らなかったものの、
彼に恥を欠かせたくないからと、こっそりホテルのマネージャーに頼んで、
テーブルマナーを教わります。
背筋や肘の位置、カトラリーの順番、ディナーナプキンの使い方。
「もし緊張したら、フォークの歯を数えなさい。
4本ならディナーフォーク。3本ならサラダフォークです。」
そんなありがたい情報まで、彼女は教わります。
しかし。
いざ本番を迎えてみると、教えられた通りに料理は出てこないのです。
「そんなとき、あなたならどうする?」
まるで観客自身に問いかけられているかのようなシチュエーション。
素敵すぎる展開が待っているので、どうぞお楽しみに。
型にハマったマニュアルの向こうにある"ひとつ先のマナー"。
そう。
やっぱり僕の先輩が言ったように、
マナーとは「相手への気遣いやたしなみ」なのです。
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『プリティウーマン』
ディズニープラスで配信中
©Touchstone Pictures.©Buena Vista Home Entertainment, Inc.
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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