キノ・イグルーの週末シネマ​ no.277
ルディ|胸が熱くなる!感動のスポーツ映のカバー画像

ルディ|胸が熱くなる!感動のスポーツ映画

文:キノ・イグルー 有坂塁

ルディ|監督:デビッド・アンスポー(1993年・アメリカ)

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2022年10月07日作成



先日「キノ・イグルーのニューシネマワンダーランド」

(「月刊手紙舎」内の動画連載)でも話題になった

"スポーツ映画あるある"。


スポーツをテーマにした映画は、

いくら完成度が高くとも、そのプレー自体にぎこちなさを感じてしまったら、

全てが台無しになってしまうという"あるある"。

実際にそのスポーツを嗜んでいた人ほど、

作品評価が厳しくなってしまう悲しい現実が、そこにあるわけです。


僕で言えばサッカーをやっていたので、

三部作もあった『GOAL!』は、本当に観ていて辛かった(笑)

貧しい主人公が成り上がっていくストーリー自体は、

王道感があって好きなのですが、

いかんせんサッカーが下手すぎた!笑

パスやドリブルはぎこちないし、目に見えてオーラがないんです。

彼のチームメイトが、本物のベッカム、ジダン、

ロナウドといったスター選手ばかりだったから、

なおさらだったのでしょう。


つまり、スポーツ映画を楽しみたい場合は、

馴染みのない競技のものほど"純粋"な気持ちで没入できるんだ、

という結論に至った次第。


そこで今回は、僕自身一度もプレー経験のない

"アメフト"をテーマにした作品をご紹介します。

1993年のアメリカ映画『ルディ 涙のウイニングラン』。


まずは内容からご確認ください。


***


幼い頃からフットボール選手に憧れていたルディは、

ノートルダム大学の名門チーム"ファイティング・アイリッシュ"で

プレーすることを夢見ていたが、

経済状態と学力不足から進学を諦めてしまう。

しかし、唯一の理解者である親友の死をきっかけに

再び夢に向かっていく決心をする…


***


この通り、本作はアメフトをテーマにしながらも、

ルディという人間の"生き方"そのものにフォーカスした

人間ドラマとなっています。


彼は、生まれながらにして身体が小さく、

兄や友人と遊ぶときも、身体の小ささからバカにされたり、

いじめられることも少なくありませんでした。


でもルディと家族は、みんなアメフトが大好きで。

中でも名門・ノートルダム大学の試合は、欠かさず見るだけでなく、

その熱狂的な試合の実況を演じてしまうほど、

ルディはアメフトにのめりこんでいくのです。


そしてここが、この映画の良さでもあると思います。

競技をメインに据えるのではなく、

誰もが共感できる好きなものへの愛情や、

家族を描いたヒューマンドラマになっている。

そこを入り口にすることで、

観客はルディの身に起こることを自分事として捉えることができ、

感情移入がしやすくなるわけですね。


おまけにこの物語は"実話"がベースになっているので、

胸アツ映画をお探しの方には、

言うことなしな1本となっているのです。


くじけても夢を追いかけ続け、挑戦し続ける姿は絵空事ではありません。

1970年代前後のアメリカで、僕たちと変わらないある若者が、

周囲からバカにされようとも信念を持ち続け、

他人の心を動かしていったひとつの"軌跡"です。


目標に向かってがんばっている人や、

仕事でくじけそうになっている人には、

今すぐにでも観てもらいたいアツい一作。

めちゃくちゃ元気が出るので、この週末にでもぜひ。


アメフト好きの人は、いったいどういう感想を持つんだろう。

聞いてみたいなぁ。


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『ルディ』
デジタル配信中
DVD 1,551円(税込)
発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©1993 TRISTAR PICTURES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

映画選定・執筆

有坂塁
キノ・イグルー 
有坂塁
キノ・イグルーは、2003年に有坂塁が渡辺順也とともに設立した移動映画館。
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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