ひとくちにサントラと言っても、
考え方がいくつかあるので、
そこから説明してみようと思います。
1990年代以降、よく聞くのがこんな話。
「あの監督のサントラが好き!」
そこで人気なのは、
・グザヴィエ・ドラン
(Mommy / マミー、わたしはロランス)
・ソフィア・コッポラ
(ヴァージン・スーサイズ、SOMEWHERE)
・ウェス・アンダーソン
(グランド・ブタペスト・ホテル、ダージリン急行)
といった人たちなのですが、
彼らは、映画の世界観を表現するために音楽を使います。
そして、その音楽は既存曲の中から選ぶ。
つまりDJと同じように、
"選曲"センスが問われるのです。
彼らの作品では、視覚では表現しきれない雰囲気が、
映画を構成する重要な要素となるのです。
さて、時間を1980年代まで巻き戻します。
この時代におけるサントラの主役は、"主題歌"です。
『スタンド・バイ・ミー』、『グーニーズ』
『ネバーエンディング・ストーリー』。
いずれも主題歌がパッと浮かびませんか?
日本で言うところの月9ドラマと同じように、
ヒットはサントラからという時代だったんですね。
さらに時間を巻き戻し、1960年代。
ようやく『ロシュフォールの恋人たち』が登場します。
この時代の特徴は、映画音楽を専門にする
"作曲家"が現れたこと。
エンニオ・モリコーネ(荒野の用心棒)や
、ニーノ・ロータ(甘い生活)などは、
のちに『ニュー・シネマ・パラダイス』や
『ゴッドファーザー』を作ることになり、
その流れの中で久石譲さんが出てきたりするわけですが、
その話はあらためて。
そんな才能ある作曲家の中でも、
最もぼく敬愛しているのがミシェル・ルグランであり、
そのNo.1サントラこそが、
『ロシュフォールの恋人たち』なのです。
ジャズとクラシックが絡み合う、
キュートでエレガントなスコア。
華麗なオーケストレイション。
こんなに心ときめくサントラを超えるものって、
今後現れるのでしょうか?
『ラ・ラ・ランド』好きな人にもマストな一作です。
"選曲" "主題歌" "作曲家"
あなたはどのタイプのサントラがお好き?
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『ロシュフォールの恋人たち』
DVD 4,700円 (税抜)
Blu-ray 4,700円 (税抜)
発売中
発売元・販売元:ハピネット
(C)Cin -Tamaris
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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