街を歩いていると、そこかしこから鈴の音が聞こえ始めましたが、
みなさん、いかがお過ごしでしょうか?
クリスマスツリーの準備は済みましたか。シュトーレンはオーダーしたでしょうか。
クリスマスソングのプレイリストは?
ぼくは12月に入ってから、毎日のようにクリスマスソングを聴いて過ごしています。
ズーイー・デシャネルやマライア・キャリー、ジャクソン5の曲も高揚感があって好きですが、
今年の気分は完全にスタンダード・ナンバー。
フランク・シナトラ、ローズマリー・クルーニー、ナット・キング・コールなどの大御所たちの名曲が、
なぜだかじーんと心に染みるのです。
世の中で、悲しい事件ばかり起こっているからでしょうか。
しかし先日、こんなにすばらしい夢を見たのです。
「毎年12月、全世界でクリスマス映画の上映が義務付けられました。
上映作品は、オリンピックのように持ち回り制で製作された最新のクリスマス映画。
今年はアメリカ、来年はアルゼンチン、再来年はポルトガル…
完成した暁には、全世界で同時公開!」
ドキドキしながら、目が覚めました。
と同時に、このプロジェクト自体、相当、理にかなってる!と膝を打ちました。
まず、マーケットは全世界です。
話題性は抜群だし、興行収入だって保証されている。
毎年、国が変わっていくため、クリスマスを通してお国柄を知ることもできるし、
大使館主導でキャンペーン展開も可能。
SNSを使えば、世界中の人たちと"映画のクリスマス"を共有できるのだから、
もう、いいことづくしの国家プロジェクトなわけです。
なんて言うは易しですが、すべては妄想からはじまるのです!
何とかして実現できないかな~。
まあ、いずれやって来るその日に向けて、
まずは現存する素晴らしいクリスマス映画で気分を高めていくとしましょう!
本連載では、過去に『ラブ・アクチュアリー』と『ホーム・アローン』を紹介していますが、
今年は趣向を変え、全編フルCGのアニメーション『ポーラー・エクスプレス』を取り上げてみようと思います。
***
成長と共にサンタクロースの存在を信じられなくなっていたクリスマスイブの夜、
ベットで横になっていた少年の耳に地鳴りのような轟音が響いた。
思わずベッドから跳ね起きて外に飛び出すと、巨大な蒸気機関車がやって来る。
車掌はその機関車を"ポーラー・エクスプレス"と呼び、少年に乗車をすすめてきた。
少年は戸惑いながらも意を決して機関車に飛び乗ると、
車掌から行き先がサンタクロースの家がある北極点だと知らされ…
***
こちらは、アメリカのクリスマスの定番絵本「急行『北極号』」を映像化したファンタジーアニメになります。
俳優の実際の演技をコンピューターに取り込んだ"モーションキャプチャー"の先駆け的な作品なのですが、
ぼくは最初、この"絵"自体にものすごく違和感を感じました。
しかし目はすぐに慣れてしまい、
あとはジェットコースターに乗っているかのようなめくるめく展開を
こどものように楽しむことに。
割れる氷の上を疾走する北極号のスピード感ある映像、
無数の小さなサンタと大量のプレゼントが登場する北極点でのセレブレーション。
ここぞ!というタイミングで流れる美しいクリスマスソングの数々。
そのスケール感たっぷりのファンタジックな世界に、
ただただ圧倒されてしまい、ぼくは映画の世界の虜になってしまいました。
そして、じつはおととしのクリスマス。
横浜の商業施設「ベイクォーター」で本作を上映しました。
真冬にも関わらず、巨大なクリスマスツリーのある屋外広場で。
ホットワインやあたたかいスープ。マフラーはぐるぐる巻き。
コートやセーターをたっぷり着込んで、
夢のあるクリスマス映画を、大人とこどもが一緒になって楽しんだのです。
最後の拍手、あったかかったなあ。
本作のDVDには、日本語吹き替え版も収録されているので、
今年のクリスマスは、ぜひご家族みなさんで鑑賞してみてはいかがでしょうか。
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『ポーラー・エクスプレス』
Blu-ray 2,381円+税
DVD 1,429円+税
発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
© 2019 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved.
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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