梅雨の真っ只中ということで、このテーマをいただいていたのですが、
まさかの梅雨明け。そしてこんどは、連日30度を超える真夏日。
梅雨のワンクッションがなかったため、準備のできていなかった心と体は、
すでにぐったりです。
どちらにせよ、こんなときに観たい映画は、
スカッと晴れやかになれる作品!ということで、
今回は奇跡のヒューマンドラマ『幸せへのキセキ』を紹介したいと思います。
キノ・イグルーのイベントでも
恵比寿ガーデンプレイス「ピクニックシネマ」で上映をし、
拍手喝采、大好評を博した作品になります。
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半年前に最愛の妻を亡くしたベンジャミン。
新聞コラムニストの仕事は頭打ち、
反抗期の息子とは心が離れ離れ、娘も悲しみを抱え…
人生の崖っぷちに立たされていた彼は、妻との想い出が詰まった町を離れ、
新しい土地で生活を始めようと決意する。
そんな彼が購入したのは、郊外の丘の上に立つ理想の家。
ところが、その物件はなんと閉鎖中の「動物園」付きだった!
周囲の大反対を押し切り、
引っ越しと同時に知識も経験もない園長となった彼は、
風変わりな飼育員たち、再オープンを待ち望む地元の人々、
そして家族みんなのサポートを得て
動物園再建という一世一代の冒険に乗り出していくのだった。
資金不足・悪天候など次々と彼らの前に立ちはだかる障害。
果たして無事オープンの日を迎え成功することができるのだろうか!?
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なんとも映画らしい、夢のあるストーリー。
動物園付きの家なんて、スケール感ありすぎですよね。
ところが本作、フィクションではなく、
実話の映画化なんだから驚きです。
作者は、イギリス人のコラムニスト、ベンジャミン・ミー。
ベストセラーにもなった彼の著書を、アメリカに舞台を移し映画化。
事実は小説よりも奇なり、です。
特に素敵だなーと思うのが、子どもと一緒に父親が成長するところ。
慣れない子育てと動物園の準備に悪戦苦闘しまくるのですが、
それでもなんとか向き合おうとする、その姿勢。
ポジティブなマインドはやがて動物園の従業員たちにも広がっていき、
みんなで一緒に成長できるという、清々しいストーリーなのです。
しかもそこに寄り添う音楽が、
シガー・ロスのフロントマン、ヨンシーなのだから、
もはや言うことなし。
「彼の音楽の中に、この映画が描きたい陰影、感情がある」と
キャメロン・クロウ監督が絶賛するほど、
サウンドトラックが物語の感動を増幅させてくれます。
中でも、感動的なラストシーンは必見です。
そして合わせて、もう1本見ていただきたい作品がありまして。
それは、シガー・ロスのライブドキュメンタリー
『HEIMA~故郷』です。
じつはキャメロン・クロウ監督、この作品からインスピレーションを受けて、
あのラストシーンを作ったそうのだそう。
(曲も同じ「Hoppipolla」が使われています)
見比べてみるのも面白いと思いますので、
早速、この週末にでもぜひ。
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『幸せへのキセキ』
Blu-ray 2,381円+税
発売中
20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン
(C)2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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