キノ・イグルーの週末シネマ​ no.5
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青いパパイヤの香り|女の子の悩みはみんな同じ・・・?遠い国の恋愛事情

文:キノ・イグルー 有坂塁

青いパパイヤの香り|監督・脚本:トラン・アン・ユン (1993年・フランス/ベトナム)

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2017年07月21日作成



人を好きになるって、
理屈ではないですよね?


顔や性格で選んでいるつもりでも、
それだってじつはただのひとつの要素で、
本当はもっと大きな意味でその人のことを好きなはず。
言葉で表現できるわけないんです。


『青いパパイヤの香り』は、そんな言葉を超えた恋愛の瞬間を、
繊細な音と映像で、丁寧に紡いでいきます。


「サイゴンで使用人として働く10歳のムイは、
その家の長男が連れてきた友人クェンに恋心をいだくものの、
何もないまま10年のときが過ぎる。

美しい大人の女性に成長したムイは、長男のすすめで、
音楽家となったクェンの元で使用人として働くことになり…」


というお話なのですが、
全編をとおして、ムイのセリフはほとんどありません。
言葉でなく、ふと見せる表情やしぐさを通して、
彼女の感情を理解していきます。


こんな印象的なシーンがありました。


"ムイは前の女主人からもらったアオザイとネックレスで着飾り、
クェンの婚約者が置き忘れていった口紅を塗っていると、
その姿を帰宅したクェンに見つかってしまう。

あまりの恥ずかしさから、ムイは自室に隠れてしまうのですが、
その日からクェンはムイの美しさが忘れられなくなり、
婚約者との仲がうまくいかなくなる"


このシーンがいいんです。
見つかってしまったときの彼女の恥ずかしそうな姿には、
彼女の魅力とともに、恋の感情が爆発するように溢れ出ていて。



本作の監督は、『ノルウェイの森』でおなじみ、
ベトナム系フランス人のトラン・アン・ユン。


彼は1950年代のサイゴン(現ホーチミン)を映像化するため、
現地ロケではなく、すべてパリ郊外にセットを建てました。


水分をたっぷり含んだ空気の中に沈む色や光を、
絵画のように再現してしまうその手腕には、もはや驚きしかありません。


さらに、家具や調度品など、
映像の隅々までベトナムエッセンスが満載の作品なので、
暮らしのヒントを探している方にもオススメ。
ぜひ、恋と暮らしの参考にしてみてくださいね。


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『青いパパイヤの香り』
DVD 3,800円 (税抜)
Blu-ray 4,700円 (税抜)
発売中
発売元:カルチュア・パブリッシャーズ
販売元:ハピネット   
(C) 1993 LES PRODUCTION LAZENNEC

映画選定・執筆

有坂塁
キノ・イグルー 
有坂塁
キノ・イグルーは、2003年に有坂塁が渡辺順也とともに設立した移動映画館。
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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