愛娘のておちゃんは、
日々、天使とおじさんを行ったり来たりして、
僕たちを楽しませてくれています。
この世のものとは思えないかわいさ(親バカ)を見せた次の瞬間、
くたびれたお相撲さんみたいになったり。
そのくるくると変化する表情を眺めているのが、愛おしくて、楽しくて。
目に入れても痛くない、とはこのこと。
もう、何時間でも見ていられます。
そんな1歳5ヶ月になる娘が生まれて以降、
家族の距離感にも変化が生まれました。
互いの両親と会う回数が急増したことはもちろん、
うちの場合、男ばかりの3兄弟とも頻繁に連絡を取り合うようになりました。
特に子ども好きな2歳下の弟は、
「今日ランチに行っていい?(ておに会いに行っていい?と同意)」と、
突然連絡をしてきたりします。
もともと、我が道を突っ走るシャイなタイプで、
自分から連絡してくることなんて一度もなかったのに…
でもそうやって、しなやかに自分を変えられる姿が、かっこよく。
大いに刺激を受けた僕も、福岡に住む双子の兄と
"人生初のサシ飲み"をしに行ったりしたのでした笑
変化とともに深まる、家族の絆。
それを共有できることの喜びを、日々感じています。
さて。
そんな我が家でも話題になった家族映画のひとつが、
『湯を沸かすほどの熱い愛』です。
2016年と最近の作品ではありますが、
もはや日本の家族映画史において
"クラシック"と位置付けてよい名作なのではないでしょうか。
主演は、大女優・宮沢りえ。
まずは、内容から確認してみましょう。
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銭湯・幸の湯を営む幸野家。
しかし、父が1年前にふらっと出奔し銭湯は休業状態。
母・双葉は、持ち前の明るさと強さで、パートをしながら娘を育てていた。
そんなある日突然、
余命2ヶ月という宣告を受ける。
その日から彼女は「絶対にやっておくべきこと」を決め実行していく。
・家出した夫を連れ帰り家業の銭湯を再開させる
・気が優しすぎる娘を独り立ちさせる
・娘をある人に会わせる
その母の行動は、家族からすべての秘密を取り払うことになり、
彼らはぶつかり合いながらもより強い絆で結びついていく。
そして家族は、究極の愛をこめて、母を葬ることを決意する。
***
本作を語る際、"泣ける"というキーワードを外すことはできません。
映画レビューサービスFilmarksでも、
「泣ける」というワードが最も多くレビューで使われた作品を調査した結果、
『湯を沸かすほどの熱い愛』が"泣ける"映画No.1に輝いたのだそう。
かく言う僕も、泣きました。
いや、泣くでは全然足りないな。号泣ですね。
嗚咽を堪えるのに必死なほど、
上映中、心を揺さぶられ続けてしまいました。
前半のシーンでいえば…
学校でいじめられている娘を母が叱咤激励するあの場面は、
号泣ポイントの一つです。
"気が優しすぎる娘を独り立ちさせる"ため、あえて厳しい態度で接する母。
親の真っ直ぐな愛を、必死に受け止めようと頑張る娘。
ブレることのない宮沢りえの肝っ玉母さんぶりもさることながら、
やはり号泣してしまうのは、感受性豊かな杉咲花の素晴らしさに尽きます。
彼女は、受けの芝居が本当に上手。
ふと見せる苦悶の表情や震える体など、
言葉に置き換えられない感情を全身を使ってリアルに表現します。
小説ではなし得ない、映画ならではの感情表現。
宮沢りえは、彼女との初対面を振り返り、こう語っています。
「うそのない人だなって。
自分の心の奥底のものも一緒に放出しないと、
太刀打ちできないぞと思いましたね」。
百戦錬磨の大女優にここまで言わしめてしまう杉咲花。
まさに天才です。
昔、この2人が登壇した上映会に参加したことがあるのですが、
杉咲花は役柄同様に宮沢りえを「お母ちゃん」と呼んでいました。
本当の親子のような親密な空気が流れていて、
何だかとても嬉しかったことを覚えています。
そんな愛情深い"お母ちゃん"と娘を軸にしたこの物語は、
先程のエピソード後も、二転三転し、泣きに泣いた挙句、
驚愕のラストを迎えます。
誰もが予想だにできない驚きのラストは、あなたの目でご確認ください。
親子の絆に触れたい方にピッタリな家族映画の決定版。
この週末にいかがでしょうか。
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『湯を沸かすほどの熱い愛』
DVD通常版 ¥4,180
Blu-ray通常版 ¥5,280
発売元:クロックワークス
販売元:TCエンタテインメント
(C)2016「湯を沸かすほどの熱い愛」製作委員会
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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