キャンプや山登りが趣味の友人から聞いたのですが、
近年のアウトドアブームとともに、
焚き火を楽しむ人が急激に増えているのだそうです。
彼曰く、
「ストレスの多い時代だから心を整えたいのはもちろん、
理由はもっと本能的な部分だと思うんだよね。
家でIHを使ってる人なんて、一切火を扱わなかったりするわけだから。」
確かに。これは納得です。
火と人間について。
歴史上、火と付き合い続けてきた人類が、
現在はここまで火から遠ざかった生活を送っている。
その反動として、火を強く求めることはごく自然な行為かも知れません。
だからこそ、思うのです。
もっと気軽に近所の公園とかで、
焚き火が出来るようになったらいいのになぁと。
恋や仕事で嫌なことがあったとき、
ササッと公園に行って、小一時間焚き火を楽しむ。
それは大きなストレス緩和となるだろうし、
キャンプファイヤーのように新たなコミュニケーションだって生まれるかもしれません。
調べてみると、やり方や場所によっては出来ないこともないらしいですが、
せっかくなら、もっとカジュアルに楽しみたい!ですよね。
そんなことを、『スタンド・バイ・ミー』のリバイバル上映時に、
強く感じてしまいました。
あの映画に出てくる焚き火シーンは、
ほんとに魅力的なんです!
観たことがある方なら同意してくれますよね?
さて、その紹介の前に、
まずはストーリーからご確認ください。
***
1959年、オレゴンの小さな町。
文学少年ゴーディをはじめとする12才の仲良し4人組は、
行方不明になった少年が列車に轢かれて
野ざらしになっているという情報を手にする。
死体を発見すれば一躍ヒーローになれる!
4人は不安と興奮を胸に未知への旅に出る。
たった2日間のこの冒険が、少年たちの心に忘れえぬ思い出を残した…
***
言わずと知れた、名作中の名作。
本編を観たことがなくとも、
ベン・E・キングの主題歌を耳にしたことぐらいはあるのではないでしょうか。
長年にわたって、ライトな映画ファンからシネフィルまで、
幅広い層に愛され続ける青春映画。
もしかしたら、この世にある全ての映画の中で、
もっとも知名度の高い作品と言っていいかもしれません。
さて。
本作を語る上で見過ごされがちなのが、原作者についてです。
手がけたのは、ホラー作家のスティーヴン・キング。
「ホラーの帝王」の異名を持ち、
『シャイニング』や『IT/イット』などの名著も手がけた、
現代アメリカを代表する作家のひとり。
『スタンド・バイ・ミー』は爽やかな青春映画というイメージが強いので、
この事実を知ったときの感想は「ウソでしょ?」でした。
でも旅の目的が"死体探し"だったり、
そこかしこに死の気配が漂っていたりとダークさは漂っています。
そして実は、そのエッセンスこそが心をざわつかせ、
いい意味での引っかかりを作っていることも考えるとよくわかります。
それは、同時期のキッズムービーの傑作
『グーニーズ』にも言えること(スロースの歪んだ顔など)。
さて。
焚き火のシーンです。
ここでは、4人の少年が森で夜を明かすときに火を囲みます。
やはり焚き火には不思議な力があるようで、
暗闇の中で炎を囲むと、皆が素直になり、思いの丈を語り始めます。
詳細は明かせませんが、
僕はこのシーンを初めて観たとき、号泣してしまいました。
クリスとゴーディの真っ直ぐな思いと、心からのエールに。
ここは線路を歩くシーンとともに、映画を代表する名場面のひとつです。
そして、食べ物にも注目してみてください。
彼らは焚き火を使って、あるものを焼いて食べるのですが、
2つ説があって、ハンバーグか、マシュマロなんです。
果たして、どちらか。
はたまた、全く異なるタイプの食べ物なのか!?
ぜひ目を凝らして、チェックしてみてくださいね。
************************************************
『スタンド・バイ・ミー 4K ULTRA HD』
5,217円(税込)
発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
※ジャケットのデザインは都合により変更される場合がございます。
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
Instagram Web Site