こんな難しいお題って、あるでしょうか。
いままでで一番の難題です。
ぼくはファッションの人でもないし、
洋服の着こなしというのは、
それぞれの個性を生かしているからこそ面白い、
と思っているタイプ。
でもそんなことをぐるぐる考えていたとき、
ふと、
不思議なジーンズのお話があったことを思い出しました。
『旅するジーンズと16歳の夏』。
もしかしたら今回の問いに対して、
これは"ベストの1本"かもしれません。
こんなお話です。
***
アメリカのメリーランド州で暮らす4人は
16年来の大親友。
母親同士がマタニティ教室で知り合ったのがきっかけで、
生まれた時から一緒の4人は、
幼い頃から喜びも悲しみも分かち合ってきた。
そんな4人も16歳という思春期を迎え、
今年の夏休みは初めて離れて過ごすことになる。
旅立ちの前。
古着屋に入った4人は、そこで体型の違う彼女たちに
なぜかフィットする不思議なジーンズを見つける。
4人はこのジーンズに奇跡を感じ、
これを一週間交代で使用するジーンズ同盟を結成して、
細かい規則を決めるのです…
***
そう、本作は体型もキャラクターも違う4人に
フィットするジーンズが登場し、
それぞれの個性を豊かに表現しています。
そしてここがポイントだと思うのですが、
この魔法のジーンズを、
彼女たち4人のストーリーをつなぐ小道具として、
友情のメタファーとして、
さりげなく使っているところが、
とても良いのです。
ファンタジーではなく、日常に寄り添っている。
"ベストの1本かもしれない"と書いたのも、
履きこなしの参考になるだけでなく、大きな意味で、
ジーンズそのものを肯定しているような作品だから。
本作を鑑賞する際はぜひ、
お気に入りのジーンズを履きながらどうぞ。
これもある種の「4D上映」。
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『旅するジーンズと16歳の夏/トラベリング・パンツ 特別版』
DVD 1,429円+税
ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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