"マンブルコア"というムーブメントをご存知でしょうか?
2000年代以降、アメリカ・インディペンデント映画界で起こったひとつのトレンドで、
アマチュア俳優、低予算、さらに映画仲間同士が互いにキャストやスタッフを交代しながら
映画を作っていくという、DIYな制作スタイルの総称です。
(マンブルコア=もごもごつぶやく、という意)
内容的には、二十代半ばの男女が、
特に仕事をする訳でもなく、何かに情熱を燃やすこともなく、
何となく仲間と会っておしゃべりするという、
彼らの日常を切り取ったような作品がほとんど。
この"マンブルコア派"のミューズとして崇められたのが、
『フランシス・ハ』の主演を演じるグレタ・ガーウィグ。
彼女は本作で飛躍のチャンスをつかみ、
いまでは話題作『20センチュリーウーマン』などにも出演する、
アメリカ期待の若手女優となりました。
この映画で、彼女が演じたフランシスは、27歳のモダンダンサー。
ニューヨークのブルックリンでステージに立つことを夢見て暮らしているけれど、
なかなか思い通りにはいきません。
もがいて壁にぶつかりながらも、それでも彼女は前を向いて進もうとします。
不器用で大雑把だけどチャーミング。
見ていると、ついつい応援したくなってしまう不思議な魅力が、
彼女には備わっているのです。
まさに憧れより"共感"を求める時代が生み出した
、新しいタイプのヒロイン(AKBのさっしーしかり)。
彼女のドタバタした姿や、文字通りの全力疾走から、
ぜひ元気をもらってください。
そして、風変わりなタイトルの意味は、きちんとラストで明かされ、
雨上がりのような爽やかな余韻を残してくれます。
こちらもどうぞお楽しみに。
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『フランシス・ハ』
DVD 3,800円+税
Blu-ray 4,700円+税
発売元:新日本映画社
販売元:ポニーキャニオン
(C)Pine District, LLC.
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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