梅雨明けと同時に、35℃を超える猛暑に。
みなさん、いかがお過ごしでしょうか?
くもりと雨が1ヶ月近くも続くと、
さすがにどんよりとした気分が抜け切らず、
待ちに待ってた夏に心が追いついていないのは、
きっと僕だけではないはず。
さらに今年は、夏祭りは軒並み中止となり、
花火もない、海にも行けない、田舎にも帰れない!
ということで、夏の遊び方に行き詰まっている方も多いと思います。
そこでひとつお手軽なオススメを。
「夏」というテーマで、
夏の映画を、夏の味覚と一緒にとことん楽しむ!!
ただ、それだけのお遊びです。
でもこれが、やってみると意外と面白い!
たとえば、スイカやかき氷。
たとえば、生ビールサーバーをレンタルして、ビール飲み放題!
たとえば、流しそうめんをしながら観るとか!
こうして、味覚を夏モードにするだけで、
映画によって〈視覚、聴覚〉を、
食べ物で〈触覚、味覚、嗅覚〉を感じることができ、
映画鑑賞なのに、五感を使って、夏が楽しめるというわけです。
(おまけに窓を開け放てば、セミの鳴き声がBGMとなり、4D上映の出来上がり!)
そんなときにぜひ観てもらいたい映画が、
くらもちふさこ原作の少女漫画を映画化した『天然コケッコー』。
田舎に帰れなかったショックを吹き飛ばしてくれるほどに、
"日本の夏"の風景が堪能できる作品となっています。
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山と田んぼが広がる木村町。
方言丸出しの中学二年生右田そよの通う、
小中学生あわせても全校生徒たった6人の分校。
そこにある日、東京からかっこいい大沢広海が転校してくる。
初めてできた同級生との、楽しく過ごす毎日に、期待に胸膨らませるそよ。
一方、面倒見のいいそよとは正反対で、ちょっと意地悪でとっつきづらい大沢。
やがて、そよはそんな大沢が気になりだして…
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「あんなに美しい田舎を体験したのは初めて」と主演の夏帆さんが語るほど、
この映画の舞台となった島根県浜田市の風景は、観ている人の心を癒してくれます。
田園風景が広がる通学路の一本道。美しい砂浜と青い海が広がる海岸。
木造のレトロな郵便局。かわいいバス停。緑に囲まれた厳かな神社。
さらに、雨上がりの濡れた緑や、
トマトを水で冷やしているシーン、地域のお祭りなど、
挙げればきりがないほど、
素敵な田舎の風景に満ちあふれた作品となっています。
それもこれも、"田舎育ち"のそよと、
"都会育ち"の大沢くんという対比を強調するための演出でもあったりします。
映画は、美しい風景を並べるだけでは成立しません。
ストーリーと連動させることで始めて、
目の前に立ち上がってきた"世界"を自分ごとのように受け止め、
共感できるようになるわけです。
この映画には、海、山、太陽と、
人間の心を解き放ってくれるのどかな田舎の風景が、
ギュギュッと詰め込まれています。
セミの鳴き声を聞きながら。
夏の味覚を味わいながら。
この優しい世界を心ゆくまで楽しんでください。
方言まるだしの そよちゃんが、あなたを待っています。
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『天然コケッコー』
DVD 2,800円+税
発売元:アスミック・エース/集英社
販売元:TCエンタテインメント
©2007「天然コケッコー」製作委員会
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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