「有坂さんって、ものすごいポジティブですよね」
とよく言われます。たしかにそうなのですが、その言葉にはちょっとした違和感も感じています。
なぜなら"根っからのポジティブ"と言われてる気がするから。
それでいうと、ぼくは"根っからのネガティブ"人間です。
人見知りだし、悪いことばかり想像するし、嫌われることへの恐怖も人一倍強い。
そんな人間。
でも高校3年の卒業間近のとき、
そんな自分が急に嫌になりました。当たり前のように受け入れてしまっていることが、
猛烈にダサい!と思ったのです。
そして、そもそもこんなのは自分じゃないともハッキリ思えた。心の声でしょうか。
そこから始めた、意識改革キャンペーン。
「無理」「つかれた」などのネガティブワードを口にしない。
初対面の人には自分から話しかける。
それがもし出来なかったら、"14階立ての団地を階段ダッシュ"という罰も科しました。
すると不思議なもので、自分でも驚くようなスピード感で変化が実感できるように。
もちろん、ダッシュは何度もしましたよ(笑)
でもやると決めてしまったことで、スッキリと思考が整理され、覚悟が決まったようです。
そして、そんなキャンペーンの真っ最中に、別角度から大きな刺激を与えてくれたのが、
映画『フォレスト・ガンプ』だったのです。
***
幼き日のフォレスト・ガンプは、生まれつき知能指数が低く、
曲った背骨の矯正のため足にギプスをはめていた。
しかし、母親は障害をものともせずにフォレストを育て、やがて彼は小学校に入学した。
そんな彼にとって友達は、スクールバスで知り合ったジェニーだけ。
ある日、同級生にいじめられていたフォレストは、彼女の「走って!」という声で駆け出し、
どこまでも走り続けた。このことが、やがて彼の人生を大きく変えていく…
***
いい流れに乗ってきたぼくにとって、
これは出会うべくして出会えた作品だと思いました。
ぼくのための映画だ!とさえ思った。
フォレストは、知能指数は人より劣るけれど、
たったひとつの特技のおかげで、次から次へと人生に幸運が舞い込んできます。
野心や下心はなく、その時その時の自分の人生を、まっすぐに生き抜く。
その末に掴んだ、アメリカンドリーム。
ファンタジーとして描かれていますが、彼の生き方は、人生の真理そのもの。
オリジナルの個性を持って産まれたぼくたちは、その魅力をまっすぐに受け入れて、
前へ前へ進むことこそが大事。
フォレストは、その真理をデフォルメしたような形で体現してくれてる存在だと思うのです。
「人生はチョコレートの箱のようなもの。開けてみないと分からない」
という名セリフが本編の中に出てきます。
実際に生きてみないと、いつ、何が起こるかなんてわからない。
でもそれは決して怖いものなんかではなくて、
チョコレート箱のように期待やワクワク感に満ちているんだよ、
ということを、この映画は教えてくれました。
さらに、同じ時間を使うなら、
やってみなきゃわからないを「楽しもう!」とも思えるようになった。
こうして、ぼくの意識改革キャンペーンは、
『フォレスト・ガンプ』のおかげで終了を迎えることとなったのです。
ロバート・ゼメキス監督ほか、スタッフ・キャストのみなさん、本当にありがとう。
ぼくのように悩んでいる方がいたら、ぜひ観てみてくださいね。
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『フォレスト・ガンプ 一期一会』
4K ULTRA HD + Blu-rayセット 5,990円+税
Blu-ray (デジタル・リマスター版) 1,886円+税
DVD 1,429円+税
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
※2019年10月の情報です。
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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