紅葉も終わり、もうすぐクリスマス。
あっという間に12月も中盤ですが、
みなさん、いかがお過ごしでしょうか?
クリスマスの準備はされていますか。
ぼくはというと、以前にここでも書きましたが、
大のクリスマス好きということもあり、
早速リースを飾っては、朝からクリスマスソングを聴くという毎日。
小さな頃から変わらないクリスマスルーティーンで、
楽しい日々を過ごしております。
ただ一方で、今年は想定外のことが起こりすぎました。
中でも《春、夏、秋》を
じっくり楽しむことが出来なかったことは、残念&反省。
どこかで心を整える時間を、一度、作るべきでした。
そして、こういうときには…
いつもあの映画を観てたじゃないか!
ということを、今回思い出しました。
誰もが、ひと息つくことのできる、
不思議な名作『バグダッド・カフェ』。
渋谷の公園通りにあった伝説のミニシアター「シネマライズ」で封切られ、
約4か月ものロングランとなり、
テーマ曲とともに話題をさらった時代を代表する名作です。
ストーリーは、こんな感じとなってます。
***
ドイツから夫と共にアメリカ旅行に来たジャスミンは、
夫婦ゲンカの末に1人で車を降り、
モハーベ砂漠にあるモーテル兼カフェ「バグダッド・カフェ」にたどり着く。
バグダッド・カフェには不機嫌な女主人ブレンダら一癖も二癖もある人々が集い、
いつもけだるいムードが漂っていた。
しかしジャスミンの出現により、彼らの心は次第に癒やされていく。
***
という『バグダッド・カフェ』は、
他に似たような作品が思い当たらない、
何ともオリジナリティーの高い作品となっています。
映画全編にわたってけだるい雰囲気が漂い、淡々とじっくり時間が進み、
わかりやすい起承転結があるわけでもない。
でも、小さな変化がじわじわと現れ、
気がつくと、登場人物と同じように
観ているこちらまでもが笑顔になってしまうという、
不思議な魅力を有する作品となっているのです。
舞台となった砂漠のカフェも、どこかおとぎ話のよう。
リアルにではなく、ひとつの理想郷として描いたからこそ、
誰もが「もう一度あのカフェに行きたい」と、願ってしまうのかもしれません。
そして極め付けは、あのテーマ曲です。
ジェヴェッタ・スティールが歌う「コーリング・ユー」。
"I am calling you〜 can't you hear me? I am calling you〜"
けだるさ、切なさ、愛しさが、映画にベストマッチ。
鑑賞後しばらくは、曲のメロディーが頭から離れず、
映画のシーンや感動が、強烈にフラッシュバックします。
つまり、余韻がすごいんです。
夫婦喧嘩から始まる、この物語の最後に用意されているものとは?
もちろんそれは、観てからのお楽しみ。
忙しくなる年の瀬を前に。
静かな癒しと、確かな希望をもたらしてくれる現代のおとぎ話を観て、
一度、心を落ち着かせる時間を作ってみてはいかがでしょう。
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『バグダッド・カフェ 4K修復版』
DVD 4,800円+税
Blu-ray 5,800円+税
DVD&Blu-ray好評発売中
発売元:WOWOWプラス
販売元:紀伊國屋書店
© 1987 / Pelemele Film GmbH - Pro-ject Filmproduktion im Filmverlag der Autoren GmbH & Co. Produktions-Kommanditgesellschaft München - Bayrischer Rundfunk/BR - hr Hessischer Rundfunk.
※画像はDVD版です
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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