「子どもとの向き合い方」の話となると、
幼少期に体験した自らのエピソードを思い出します。
我が家は、母、こども3人(兄、ぼく、弟)という4人家族、
母はシングルマザーでした。
社会経験ゼロで離婚を決意。確かそのとき30歳すぎぐらいだと思います。
就職活動も家探しも初体験。
その状況でこどもを3人、女手ひとつで育てる決意をしたのだから、
もはや、尊敬しかありません。
そんな母の教育方針は「好きなことを見つけて、とことんやりなさい」でした。
どんな状況でもその方針はブレることはなく、一貫していました。
例えば、ファミコンに興味を持ちすぎたことをきっかけに
「サッカーをやめたい!」と言った小学生のときもそうだったし、
我が家にお金がないとわかっていながらも、
「サッカーの専門学校へ入学させてほしい!」と言ったときもそうでした。
いいじゃない!それだけ。
今、ぼくがこうして"好き"を仕事にできているのは、
そんな母のおかげであることは間違いありません。
余計なことを考えずに、
好きなことに対して100%の情熱で向き合うよう仕向けてくれたのです。
それが母の考える「子どもとの向き合い方」だったのだと思います。
今回『ワンダー 君は太陽』をセレクトしてみて気づいたのですが、
じつはこの作品、母のお気に入り映画でもありました。
物語の良さに加えて、ジュリア・ロバーツが演じた母親役に
小さなシンパシーを感じたのだとか。
物語はこんな内容になっています。
***
「僕は普通の10歳の子じゃない」
――オギーは遺伝子の疾患で、人とは異なる顔で生まれてきた。
27回の顔の手術のせいで自宅学習を続けてきたオギーだが、
両親は息子を外の世界へ送り出そうと決意する。
だが、5年生で入学した学校で、
オギーはいじめや裏切りなど初めての困難と出会う。
幾度もくじけそうになりながら、
家族の愛を勇気に変えて立ち向かうオギーの姿に、周囲の人々が変わり始める。
そして忘れられない1年を締めくくる修了式の日に、
最大の出来事が待ち受けていた…
***
小さな勇気が奇跡を起こす物語。
本作は、子どもと関わるすべての大人に観てもらいたい、
爽やかな感動作となっています。
そう、テーマは重めなのですが、あたたかくて、爽やかなんです。
笑顔になりながらも、涙が頬をつたうんです。
感覚的には『リトル・ミス・サンシャイン』のあの感じ、かな。
すーっと心が洗われるのです。
また、主人公のオギーだけでなく、
他の登場人物にもきちんとスポットを当てているところも、
この映画の良さだと思います。
オギーという"太陽"を中心にしながらも、
姉や友人のパートも用意し、まるで、映画『羅生門』のように、
ひとつの出来事を様々な視点から描き、
それぞれの立場からの愛や葛藤を描くことで、
物語にグーッと深みが生まれているのです。
中でも魅力的な人物が、母親役を演じたジュリア・ロバーツ。
愛する我が子に起こった生まれながらの困難を、
彼女は真っ直ぐな愛と優しさで包み込みます。
たくさんの名シーンがありますが、
はじめて友人と一緒に学校から帰ってくるオギーを校門で待っているシーンは、
よろこびと不安、その両方をかみしめるような
ジュリアの表情に感情を持っていかれてしまうこと必至なので、
どうぞ、お楽しみに。
みなさん、子育てだけでなく、何かにつけて
いろいろとお忙しいかと思います。
でも今日は、無理にでも"2時間"を捻出して、
愛と優しさで心をいっぱいに満たしてみてはいかがでしょうか。
鑑賞後は、「子どもとの向き合い方」も、
より前向きになれると思いますので、ぜひ、お試しあれ。
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『ワンダー 君は太陽』
DVD:4,290円
Blu-ray:5,280円
Blu-ray(SPED):7,480円
DVD&Blu-ray発売・レンタル中
発売元:キノフィルムズ/木下グループ
販売元:ハピネット・メディアマーケティング
Wonder (C)2017 Lions Gate Films Inc. and Participant Media, LLC and Walden Media, LLC. Artwork & Supplementary Materials (C)2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
※画像はBlu-ray版です
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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