キノ・イグルーの週末シネマ​ no.164
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ワンダー 君は太陽|忙しいお母さんへ贈りたい子どもとの向き合い方

文:キノ・イグルー 有坂塁

ワンダー 君は太陽|監督・脚本:スティーヴン・チョボスキー(2017年・アメリカ)

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2020年08月07日作成



「子どもとの向き合い方」の話となると、

幼少期に体験した自らのエピソードを思い出します。


我が家は、母、こども3人(兄、ぼく、弟)という4人家族、

母はシングルマザーでした。

社会経験ゼロで離婚を決意。確かそのとき30歳すぎぐらいだと思います。

就職活動も家探しも初体験。

その状況でこどもを3人、女手ひとつで育てる決意をしたのだから、

もはや、尊敬しかありません。


そんな母の教育方針は「好きなことを見つけて、とことんやりなさい」でした。

どんな状況でもその方針はブレることはなく、一貫していました。


例えば、ファミコンに興味を持ちすぎたことをきっかけに

「サッカーをやめたい!」と言った小学生のときもそうだったし、

我が家にお金がないとわかっていながらも、

「サッカーの専門学校へ入学させてほしい!」と言ったときもそうでした。

いいじゃない!それだけ。


今、ぼくがこうして"好き"を仕事にできているのは、

そんな母のおかげであることは間違いありません。

余計なことを考えずに、

好きなことに対して100%の情熱で向き合うよう仕向けてくれたのです。

それが母の考える「子どもとの向き合い方」だったのだと思います。


今回『ワンダー 君は太陽』をセレクトしてみて気づいたのですが、

じつはこの作品、母のお気に入り映画でもありました。

物語の良さに加えて、ジュリア・ロバーツが演じた母親役に

小さなシンパシーを感じたのだとか。


物語はこんな内容になっています。


***


「僕は普通の10歳の子じゃない」

――オギーは遺伝子の疾患で、人とは異なる顔で生まれてきた。

27回の顔の手術のせいで自宅学習を続けてきたオギーだが、

両親は息子を外の世界へ送り出そうと決意する。

だが、5年生で入学した学校で、

オギーはいじめや裏切りなど初めての困難と出会う。

幾度もくじけそうになりながら、

家族の愛を勇気に変えて立ち向かうオギーの姿に、周囲の人々が変わり始める。

そして忘れられない1年を締めくくる修了式の日に、

最大の出来事が待ち受けていた…


***


小さな勇気が奇跡を起こす物語。

本作は、子どもと関わるすべての大人に観てもらいたい、

爽やかな感動作となっています。

そう、テーマは重めなのですが、あたたかくて、爽やかなんです。

笑顔になりながらも、涙が頬をつたうんです。

感覚的には『リトル・ミス・サンシャイン』のあの感じ、かな。

すーっと心が洗われるのです。


また、主人公のオギーだけでなく、

他の登場人物にもきちんとスポットを当てているところも、

この映画の良さだと思います。

オギーという"太陽"を中心にしながらも、

姉や友人のパートも用意し、まるで、映画『羅生門』のように、

ひとつの出来事を様々な視点から描き、

それぞれの立場からの愛や葛藤を描くことで、

物語にグーッと深みが生まれているのです。


中でも魅力的な人物が、母親役を演じたジュリア・ロバーツ。

愛する我が子に起こった生まれながらの困難を、

彼女は真っ直ぐな愛と優しさで包み込みます。


たくさんの名シーンがありますが、

はじめて友人と一緒に学校から帰ってくるオギーを校門で待っているシーンは、

よろこびと不安、その両方をかみしめるような

ジュリアの表情に感情を持っていかれてしまうこと必至なので、

どうぞ、お楽しみに。


みなさん、子育てだけでなく、何かにつけて

いろいろとお忙しいかと思います。


でも今日は、無理にでも"2時間"を捻出して、

愛と優しさで心をいっぱいに満たしてみてはいかがでしょうか。


鑑賞後は、「子どもとの向き合い方」も、

より前向きになれると思いますので、ぜひ、お試しあれ。


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『ワンダー 君は太陽』
DVD:4,290円
Blu-ray:5,280円
Blu-ray(SPED):7,480円
DVD&Blu-ray発売・レンタル中
発売元:キノフィルムズ/木下グループ
販売元:ハピネット・メディアマーケティング
Wonder (C)2017 Lions Gate Films Inc. and Participant Media, LLC and Walden Media, LLC. Artwork & Supplementary Materials (C)2018 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
※画像はBlu-ray版です

映画選定・執筆

有坂塁
キノ・イグルー 
有坂塁
キノ・イグルーは、2003年に有坂塁が渡辺順也とともに設立した移動映画館。
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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