いよいよ開幕が迫っているオリンピック。
この時期だからこそ観てもらいたい映画といえば。
市川崑が総監督を務めた記録映画『東京オリンピック』(1965)。
これはマストです。
オリンピックの公式記録映画としてオファーされながらも、
単なる記録に留まらないアーティスティックな表現に政府が激怒。
「記録か芸術か」という大論争を呼んだことで、
予想を上回る大ヒットを記録したという伝説の一作です。
いくつかの配信でも観られるようなので、未見の方はぜひ。
もう1本。
こちらは、コテコテのフィクション映画です。
オリンピック精神にのっとった、ディズニー製作のヒューマン・コメディ。
そして、僕の人生を大きく変えた1本でもあります。
1993年の作品『クール・ランニング』。
テレビCMでも放映され、高い人気を集めた話題作でもあるので、
ご存知の方も多いと思います。
ジャマイカの……そう、ボブスレーの話です!
キナリノで紹介するには、
幾分、パッケージが派手で陽気すぎる気もしますが…笑
でも面白さは保証されているので、どうぞご期待ください!
ストーリーは、こんな感じとなっています。
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ジャマイカの陸上競技100mの有力選手デリース。
彼は、幼い頃から100m走でオリンピックを目指していたが、
選考会で転倒の巻き添えを食い、出場不可能になってしまう。
それでもオリンピック出場の夢を見る彼は、
冬季五輪のボブスレー競技のことを知り、
幼なじみのお調子者や転倒事故で同じく夢破れた2人を巻き込んで、
過去に2度金メダルを取ったアメリカ人選手をコーチに招いて
練習を開始するのだった…
***
「ボブスレーがどんなスポーツかも知らない男たちがオリンピックを目指す」とは、
いかにもフィクション的だなと思った方、多いと思います。
ところが本作は、1988年の冬季オリンピックに出場したジャマイカ代表の実話がベースとなっています。
南国の若者たちが北国のスポーツに挑む、という出来すぎたストーリー。
まさに"事実は小説よりも奇なり"を
地で行くエピソードを映画化したものになるのです。
そんな『クール・ランニング』は、
リレハンメル・オリンピックに合わせて公開し、世界中で大ヒットを記録。
それを受けて、実際のボブスレー・ジャマイカチームも
全世界で大フィーバーを巻き起こします。
この幸せなサイクルのおかげで、
ジャマイカチームは国からの資金援助を得て、
5大会連続でオリンピックに出場したというのだから素敵すぎます。
これぞ、映画の力!
内容的には、コミカルで感動的なスポーツ映画です。
スポ根モノとも言われますが、
スポーツ映画特有の汗や根性といったモノとは、まるで無縁。
南国的なポジティブで底抜けの明るさがベースとなっていますので、
めちゃめちゃ元気をもらえます。
ジミー・クリフの楽曲「I can see clearly now」を始めとした
レゲエのリズムがまた心地よくて。
おまけに、ラストではグッと泣かされてしまうのです。
心が、もう大忙し。
詳細については、ネタバレになってしまうので省きますが、
ここに込められた"オリンピック精神"そのものに、
激しく心を揺さぶられてしまうのです。
まさに、いま観るべき一作。
本作が、僕の人生を変えてくれたエピソードも書こうと思っていたのですが、
ちょっと長くなりそうなので、
「この映画のおかげで、いまがある」とだけお伝えしておきます。
よろしければ、ネットで検索してみてください。
では、楽しい週末を!
have a good trip!(この言葉の意味は、映画を見ればわかります)
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『クール・ランニング』
ディズニープラスで配信中
公式サイト:https://disneyplus.jp/
© 2021 Disney
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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