初詣。門松。お年玉。除夜の鐘。初日の出。
どれだけ時代が変わっても、
しっかり受け継がれているお正月の行事や風習。
その時期がくるだけで、
すべての人たちが共有できる何かがあるって素敵です。
スマホなどで個人の時間が増えているからこそ、
行事ごとの価値があらためて高まっている気もします。
そして、ぼくは思うのです。
ぜひこの中に"映画"も加えてもらえないかと。
そういった想いをもとに、
ぼくは13年前から「初笑い上映会」というものを、
おこなっています。
東京・神楽坂のおまんじゅう屋さんで、
まんじゅうを頬張りながら初笑い映画を楽しむ、
小さなイベント。
(今年は1月6日、7日、8日の三日間開催)
古き良き伝統行事に触れている時期なので、
上映作品は小津安二郎、キートン、ロイド、ルビッチと、
比較的クラシックなものが多いです。
そこで、『アパートの鍵貸します』です。
監督は"ロマンティック・コメディの名手"と言われる
ビリー・ワイルダー。
日本でも和田誠さんや三谷幸喜さん、
立川談志さんなど、彼のファンは数多く、
新世代のクリエイターたちにまで影響を与えている大監督。
彼の代表作の1本が『アパートの鍵貸します』なのです。
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「何人もの上役に、彼らが不倫相手と会う場として
自分のアパートの部屋を貸している保険会社のヒラ社員パド。
ところがある日、人事部長が連れて来たのは
バドの意中の女性だったのです…」
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そんなお人好しなパドのおかしみと
恋のお話を鮮やかに描いた都会派コメディ。
ウィットに富んだセリフと
抜群のアイデアに支えられた素晴らしい脚本。
それだけでなく、
ツィードのセットアップやトレンチコートなどのファッションや
60年代のステーショナリーなど、
美術や衣装もいちいちおしゃれ。
コメディとして、ラブストーリーとして、
映画のお手本のような名作です。
本作は、アカデミーで5部門を受賞したのですが、
作品賞、監督賞、脚本賞というメインどころを、
ひとりが1本の作品で受賞したのは
現在でもビリー・ワイルダーただひとりなのだそう。
そんな名作コメディを、
2018年の初笑いにしてみてはいかがでしょうか?
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『アパートの鍵貸します』
Blu-ray 1,905円+税
発売中
20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン
(C)2017 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. Distributed by Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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