キノ・イグルーの週末シネマ​ no.58
狼男アメリカン|背筋ひやっと、暑気払いホラー映画入門のカバー画像

狼男アメリカン|背筋ひやっと、暑気払いホラー映画入門編

文:キノ・イグルー 有坂塁

狼男アメリカン|監督・脚本:ジョン・ランディス(1981年・アメリカ)

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2018年07月27日作成



女性のみなさんに「苦手なジャンルは何ですか?」と聞くと、

90%近い確率でホラー映画があがってきます。

血まみれなスプラッターが苦手な人もいれば、

心理的に追い詰められる方が怖い!という人や、

ホラーは好きだけど、人間の暗部をえぐったものが一番怖いという人まで、

ホラーと言っても、好き嫌いはそれぞれあるようです。


でもでも、そんなみなさんが満足できてしまう

ホラー映画があるのはご存知でしょうか?

それが、『狼男アメリカン』です。

Blu-rayのパッケージを見ると強烈な印象を持つかと思いますが、

じつは笑える要素も含んだ"ホラー・コメディ"作品なのです。


***


アメリカから3ケ月間のヨーロッパ旅行に旅立ったデヴィッドとジャック。

最初に訪れたイギリスの郊外をさまよう二人は、

立ち寄ったパブで奇妙な警告を受けるも荒れ地に迷い込んでしまい、

不気味な遠吠えと共に何者かに襲われてしまう。

ロンドンの病院で目覚めたデヴィッドは、ジャックが死に、

犯人は精神異常者だと聞かされる。

看護婦アレックスの介助もあり回復に向かうデヴィッドだが、

そんな彼の前に死んだはずのジャックが現れ、

二人を襲ったのは狼人間だと告げる…


***


まあ、設定としては、よくあるような内容です。

でも映画の面白さというのは、"何を描くかではなく、どう描くか"です。

映像や音楽などを駆使して、どのような世界観を作れるか。


そういった意味で本作は、怖いところはしっかり怖い。

それに加え、とぼけたユーモアやブラックなテイスト、

シニカルな視線などいろいろな風味が重なり合い、

さらに音楽もいい意味でミスマッチ感があったりと、

不思議な魅力を放った作品に仕上がっています。


しかも本作は、かのマイケル・ジャクソン「スリラー」の

ミュージックビデオの元ネタでもあるのです。

マイケルはこの映画から、強烈なインスピレーションを受けたのだそう。

そして同じスタッフを起用し、

(監督:ジョン・ランディス、撮影:ロバート・ペインター、
音楽:エルマー・バーンスタイン、特殊メイク:リック・ベイカー)

あの伝説のミュージックビデオを制作したのです。

つまり、マイケルをスーパースターに押し上げたきっかけのひとつに、

『狼男アメリカン』の存在があるのです!


と、ここまで説明すれば、もう大丈夫ですよね。

ぜひ、ホラーが苦手な人たちで集まって、

わいわい楽しんでみてください!


************************************************
『狼男アメリカン』
Blu-ray 1,886円+税
DVD 1,429円+税
発売中
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
※2018年6月の情報です。

映画選定・執筆

有坂塁
キノ・イグルー 
有坂塁
キノ・イグルーは、2003年に有坂塁が渡辺順也とともに設立した移動映画館。
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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