3連休で、三部作。
とってもいいお題をいただきました。
シンプルに考えれば、『ロード・オブ・ザ・リング』、
『ゴッドファーザー』、『トイ・ストーリー』(4が公開されますね!)
などの連続ものになるのでしょうが、
これだときっとすぐに続きが観たくなり、一気見してしまうはず。
ということで一気見を防止するために、2つのポイントを設定してみました。
まずは1本ずつが独立した内容になっているもの。いわゆる一話完結ものですね。
2つ目は、それらの3本がじつはゆるやかなつながりを持っていて、
見終わったあとにひとつの大きな世界を形作ってくれる、というもの。
そこから思いついたのが、「トリコロール三部作」です。
ポーランドの巨匠クシシュトフ・キェシロフスキが、フランス政府の依頼を受けて製作。
フランス国旗の三色をモチーフに、
それぞれの色が象徴する「自由・平等・博愛」をテーマにした内容となっています。
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『トリコロール 青の愛』
"自由"がテーマで、主演はジュリエット・ビノシュ。
事故で愛する夫と娘を失ったジュリー。
すべてを捨て、パリで新たな生活をはじめようとするも、
夫が書いた未完の協奏曲のメロディーを、そして想い出を忘れることができない。そんな中、知らなかった夫の秘密を知り…
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『トリコロール 白の愛』
"平等"がテーマで、主演はジュリー・デルピー。
パリに住むポーランド人の美容師カロルは、
性的不能を理由にフランス人の妻ドミニクに離婚を言い渡される。
失意に沈む彼がメトロの通路で故郷の音楽を奏でていると、
同郷の男に声をかけられ、ともにワルシャワへと戻ることに。
故郷の地で生活を取り戻したカロルだが、ドミニクへの恋しさは募るばかり。
そこで彼は愛を取り戻すための作戦を思いつく…
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『トリコロール 赤の愛』
"博愛"がテーマで、主演はイレーヌ・ジャコブ。
大学に通う傍らモデルとしても活動するバランティーヌは、
車で犬をはねてしまう。首輪を頼りに訪ねた住所で、
盗聴が趣味の孤独な元判事に出会う。
心を閉ざす元判事は彼女の優しさに触れ、
やがてふたりは互いの孤独を感じ合い、心を開く…
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このように単独作品としても魅力的な3本。
そのうえ、3作品を登場人物が行き来したり、
共通するワンシーンとして裁判所が出てきたりと、
運命に翻弄される人物のそばで、物語は静かにリンクしていきます。
このさりげなさがいいんですね。キェシロフスキの品の良さを感じます。
そして最後、物語は大きな"愛"がすべてを包み込みます。
まさしくそれこそ、キェシロフスキが生涯をかけて描き続けたテーマであり、
遺作となった「トリコロール三部作」は、
彼にとっての愛の集大成となったわけです。
興味を持った方は、ぜひ、青→白→赤の順番で観てみてください。
みなさん、良き週末を。
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『トリコロール ブルーレイBOX』
12,600円(税抜)
発売・販売元:松竹
(C)1993 MK2 Productions / CED Productions / FR3 Films Productions / CAB Productions / Studio Tor
(C)1993 MK2 Productions / France 3 Cinema / CAB Productions / Film Studio Tor
(C)1994 MK2 Productions / France 3 cinema / CAB Productions / Film studio TOR
※2019年2月時点の情報です
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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