この連載では、250本以上の映画を紹介してきているのですが、
じつは"THEアクション"と呼ばれるようなものは、
ほとんど取り上げていません。
まあ、広義な意味で言うと、
おしゃれなミニ・クーパーを主人公にした『ミニミニ大作戦』や、
クエンティン・タランティーノらしさ120%な『デス・プルーフ』、
おバカなアクション・コメディ『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』、
といったアクションはありましたが、
いわゆる王道のハリウッド・ブロックバスター作品はゼロ。
5年以上、一度も紹介していないんですね。
そんなアクション映画は、かつて花形のジャンルでした。
特に80年代は、『ダイハード』、『ランボー』、
『マッドマックス』、『リーサル・ウェポン』、
『ビバリーヒルズ・コップ』などが大ヒットし、シリーズ化。
結果、マーケットが拡大し、
新たなアクションファンを獲得するという
好循環が生まれていたときもありました。
アクション映画の戦国時代です。
勧善懲悪でハッピーエンド。
そんなオールドスタイルとも言えるアクション映画の流れは、
90年代に入って一度停滞するものの、
そこに彗星の如く現れたのが、1994年の『スピード』でした。
言わずと知れたキアヌ・リーブスの出世作。
共演のサンドラ・ブロックをも有名にしたノンストップ・アクションの決定版ですが、
みなさんは、ご覧になっているでしょうか?
僕はリアルタイムで劇場鑑賞し、
ものすごく興奮したことを今でも覚えています。
まずはこちらのストーリーから、ご確認ください。
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LA市警SWATの隊員ジャックは
高層ビルのエレベーターに爆弾が仕掛けられた事件を解決。
だが、逃走した犯人ハワードは後日、市民の足であるバスに、
速度が時速50マイル(約80km)以下になると爆発する爆弾をセット。
電話でジャックにそれを解除できるかと挑戦してくる。
走り出したバスに乗り移ったジャックは
たまたま乗り合わせたアニーら乗客たちと協力し合いながら爆弾の解除を目指すが、
さまざまな困難が次々と襲う。
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本作は、大きく3つのパートに分かれています。
エレベーター、バス、地下鉄、それぞれに迫力ある見せ場が詰め込まれた、
とっても密度の濃いアクション映画となっています。
中でも"スピードが落ちると爆発する!"というバスのパートは、
そのわかりやすい設定を十二分に活かしていてスリル満点です。
止まらないバス。爆弾魔との駆け引き。
果たして、どうやってバスを止めるのか。
ハラハラドキドキ、手に汗握る展開が続き、
その緊張感はラストまで持続します。
まさにノンストップ!
激しいアクションを支える役者陣も、これまた素晴らしく。
短髪が似合うキアヌ・リーブスと初々しいサンドラ・ブロックのフレッシュさは、
映画の持っている前向きなエネルギーとバッチバチにぶつかり合い、
新時代らしい躍動感を生み出しています。
悪役のキャスティングは、驚きでした。
インディーズ界の帝王的なデニス・ホッパーが、
メジャー作品の、しかも王道のアクション映画に出る日が来るなんて!
最初は戸惑いましたが、結果、大成功。
ホッパーの動かずとも滲み出る狂気のおかげで、
動だけでなく"静"という新たな魅力まで加わったのです。
そんなヤマ場てんこ盛り、サービス過剰なアクション映画は、
友人や家族と一緒に、盛り上がれること間違いなし!です。
ぜひ、スカッとしたい人たちを集めて、ご覧になってみてくださいね。
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『スピード』
ディズニープラスのスターで配信中
公式サイト:https://disneyplus.jp/
©2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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