キノ・イグルーの週末シネマ​ no.132
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輝ける青春|1年のフィナーレにふさわしい歴史に残るラストシーン

文:キノ・イグルー 有坂塁

輝ける青春|監督:マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ(2003年・イタリア)

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2019年12月27日作成



季節に合わせて映画を選ぶのも、ときにはいいものです。


年始なら「初笑い」。

これはぼくも毎年1月にイベントをおこなっていたりします、よろしければ。

場所は、神楽坂にあるおまんじゅう屋さんです。


夏の気分に合うのは、サマー・ムービーと称される「ハリウッドメジャー作品」。

『ダイ・ハード』や『ミッション:インポッシブル』的な映画ですね。


心が穏やかになってくる秋には、「アート系」の作品を。

芸術の秋は、映画祭シーズンであったりもします。


冬はクリスマス気分にひたれる「ロマンチックなラブ・ストーリー」。

『ラブ・アクチュアリー』や『めぐり逢えたら』など、心ときめく名作がたくさん!


このように自分の好みを超えた映画に出会えるところも、

季節合わせの、おすすめポイントかもしれません。


では、1年のフィナーレにふさわしい映画といえば?

個人的には、スケールの大きな大河ドラマが相性的によいかな、と考えます。

ということで、今回ご紹介するのは、

21世紀に入って、勢いを取り戻しつつあるイタリア映画界の話題作

『輝ける青春』です。


***


1966年、夏、ローマ。

イタリアのごく普通の中流家庭・カラーティ家は、両親と長女、長男、次男、次女の6人家族。

大学生で一つ違いの兄ニコラと弟マッテオは仲が良く、

ノルウェーのノース岬をめざす大陸横断の旅を計画中だ。

出発を前にして二人は、

精神病院で不当な扱いを受けているジョルジアという少女と出会い、

彼女を救い出そうとする…


***


と、あらすじを簡潔に書いてみたのですが、

じつは本作、"超"がつくほどの大河ドラマになります。

1960年代から21世紀の幕開けまでという

イタリアの近現代史を描いた珠玉の年代記になっていて、

上映時間は、驚きの6時間6分!

おそらく、映画史全体を見渡してもTOP10に入るか?というほどの長尺作品。

いまみなさんのひるんだ姿が目に浮かびましたが、スルーしておきましょう(笑)


カンヌ国際映画祭のある視点部門グランプリ受賞を皮切りに、

イタリア・ヨーロッパ各国で大ロングラン!

日本でも1日1回上映ながら、興収8,000万を記録!

(これは、単純計算でも26,000回強(=26,000日!)の上映回数が必要になり、

口コミでの広がりがない限り、およそ達成できない数字になっています)


では、なぜそこまで多くの人の心を惹きつけたのか?

それは、全体の完成度はもちろんのこと、

個人的には、"テンポの良さ"が大きかったかなと思っています。


長尺作品というのは、

基本的に"長回し"を駆使した芸術的な作品が多いですのですが、

本作にはそういったアクの強さがなく、流れるようにサクサクと観られます。

体感では、6時間をまったく感じない。


さらに、人間ドラマにフォーカスしているため、

共感しやすく、見終えた後の感動もハンパない。

つまり安心して、人にオススメできる特徴を持っているのです。

このバランス感覚を持った作品って、なかなかないと思います。


何気ない日々の暮らしの中に輝く家族への想いが

どれだけ、かけがえのないことなのかを気づかせてくれる、珠玉の年代記。


ぜひ、2010年代のフィナーレに、

6時間の贅沢なイタリアへの旅をお楽しみになってはいかがでしょうか。


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『輝ける青春 プレミアム・エディション』
DVD 6,190円+税
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
※2019年12月の情報です。

映画選定・執筆

有坂塁
キノ・イグルー 
有坂塁
キノ・イグルーは、2003年に有坂塁が渡辺順也とともに設立した移動映画館。
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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