キノ・イグルーの週末シネマ​ no.288
ラスト・クリスマス|聖夜に観たいとっておきのクリスマスムービのカバー画像

ラスト・クリスマス|聖夜に観たいとっておきのクリスマスムービー

文:キノ・イグルー 有坂塁

ラスト・クリスマス|監督:ポール・フェイグ(2019年・イギリス/アメリカ)

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2022年12月23日作成




毎年言っているような気もしますが、

僕はクリスマスが大好きです。


サンタクロースにサインをもらったことだってあるし(筆記体でした)、

クリスマスソングのプレイリストも複数持っているし、

キノ・イグルーとしても数々のクリスマスイベントを開催してきました。


そんなクリスマス好きのせつなる願いは、

毎年、クリスマス・ムービーの新作が観られること。

でも同時に、それはビジネス的にリスクが伴うことも理解はしています。


"クリスマス・ムービーには賞味期限がある"のです。


どれだけ話題になった映画でも、

12月25日を過ぎた瞬間、魔法が消えてしまいます。

では早ければいいかというと、10月31日まではハロウィン一色だし、

劇場側にはブッキングのタイミングというものがあるので、

公開の時期さえも保証されていないわけです。


しかし2019年の12月6日に、

ひさびさとなる王道のクリスマス・ムービーがついに日本でも公開されたのです。


アメリカ映画『ラスト・クリスマス』。

みなさんはご覧になったでしょうか?


まずは、こちらの内容からご確認ください。


***


ロンドンのクリスマスショップで働くケイトは、

小妖精の格好をしてきらびやかな店内にいても仕事に身が入らず、生活も乱れがち。

そんなある日、不思議な好青年トムが突然現れ、

彼女の抱えるいくつもの問題を見抜いて、答えに導いてくれる。

ケイトは彼にときめくけれど、ふたりの距離は一向に縮まらない。

トムを捜し求めつつ自分の心の声に耳を傾けたケイトは、

やがて彼の真実を知ることになる…


***


本作のモチーフは、全世界で愛されるワム!の楽曲「ラスト・クリスマス」。

一見、ベタなラブストーリーを連想してしまうビジュアルですが、

実際は、移民やLGBT、ホームレスなど、現代的なイシューがてんこ盛り。

でもそれらを声高に嘆くのではなく、あくまでコミカルに描いたことで

楽観的な世界観の中に奥行きが生まれています。

ひとつ、ここが素敵だなぁと。


おまけに物語自体が、伏線回収型のため、

最後の最後まで楽しめるエンタメ性とリアルが程よく調和した、

クリスマス映画の快作となっています。


クリスマスは恋人たちだけのものではありません。

普段心の奥にしまい込んでいる"愛"というものの存在を見つめ、

ほんの少しでもいいから身近な人たちに分け与える。

家族、兄弟、友人、亡きあの人。

ピュアな想いが溢れる2日間だからこそ、

"クリスマスの奇跡"が生まれるのかもしれません。


クリスマスの暖かい雰囲気とロンドンの街並みにもワクワクできますし、

「ラスト・クリスマス」の歌詞にもあらためて感動できる、

とっておきのクリスマス・ムービー。


6年ぶりとなる、週末クリスマス。

ぜひ、お気に入りのワインなどと一緒にお楽しみください。


***


「キノ・イグルーの週末シネマ」は、次週が最終回となります。

最後は、僕のとっておきの映画をご紹介します。


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『ラスト・クリスマス』
Blu-ray: 2,075 円 (税込)
DVD: 1,572 円 (税込)
発売元: NBCユニバーサル・エンターテイメント
※2022 年12月の情報です。

映画選定・執筆

有坂塁
キノ・イグルー 
有坂塁
キノ・イグルーは、2003年に有坂塁が渡辺順也とともに設立した移動映画館。
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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