キノ・イグルーの週末シネマ​ no.82
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すれ違いのダイアリーズ|過去から?未来から?時を超えた贈りもの

文:キノ・イグルー 有坂塁

すれ違いのダイアリーズ|監督:ニティワット・タラトーン(2014年・タイ)

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2019年01月11日作成



"時を超える"って、なんでこうもワクワクするんでしょう。

土の中に埋めたタイムカプセル、

部室に殴り書きされた先輩たちの言葉、

旅館で見かけるメッセージノート。


実在してないけど、確かに感じるその人のぬくもり。

どんな状況で書いたのかなと妄想してみたり、

思いがけず心に響く言葉に出会えたり。


今回ご紹介するタイ映画『すれ違いのダイアリーズ』は、

そんな"時を超える"というワクワクそのものをテーマにした、

爽やかな感動作です。


***


ソーンはいい奴だけど、かなり情けないお気楽男子。

恋人に定職を持つように叱られて、仕方なく仕事探しを始めたものの、

ようやく見つけた仕事は、電気なし・水道なし・携帯電話もつながらない

僻地の水上学校の先生だった。

赴任したものの、スポーツしか自信がないソーンは毎日失敗ばかり。

ある日、前任の女性教師エーンの日記を見つける。

そこには、自分と同じように僻地の学校で寂しさを感じ、

子供達の教育や恋人との関係に悩む、

エーンの正直な心の中が書かれていた…


***


このストーリーだけでも、面白そうじゃありませんか?

日記を読むうちに、そこに書かれた悩みに共感して、

教え方を学び、やがては会ったことのないエーンに恋をして、

彼女を探し始めてしまう。


このロマンティックな展開が、

『めぐり逢えたら』や『ラブ・アクチュアリー』のように

映画的でいいなあと思うんです。


ところが本作、実話を元にした話だというから驚きました。

ベースは、タイに実在する水上学校の話と、日記を読んで恋をした男性の話。

これらをミックスした巧みなストーリーテリングで、

誰もが楽しめる感動作に仕上げたニティワット・タラトーン監督おそるべしです。

そしてこの実話に出会ったときの監督の心境は、

おそらくソーンが日記を見つけたのと同じように「時を超えた贈り物だ!」と

感じたのでしょうね。


舞台となるケーンクラチャン国立公園のロケーションも素敵だし、

願い事を書いて空に放つコムローイ(熱気球)など、

一度は訪れたくなるタイの魅力もたくさん詰まった、

いいとこだらけの隠れた名作。

ピュアな心に触れたい方にもおすすめです。

映画選定・執筆

有坂塁
キノ・イグルー 
有坂塁
キノ・イグルーは、2003年に有坂塁が渡辺順也とともに設立した移動映画館。
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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