キノ・イグルーの週末シネマ​ no.77
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2001年宇宙の旅|時には、非日常に誘われて。SF映画の金字塔

文:キノ・イグルー 有坂塁

2001年宇宙の旅|監督:スタンリー・キューブリック (1968年・アメリカ/イギリス)

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2018年12月07日作成


映画史に燦然と輝く、SF映画の金字塔。

映画史を代表する不朽の傑作。

映画史上のベストテンに必ず入る、殿堂入りの名作。


これほどにさまざまな賛辞の言葉が並ぶ作品というのもめずらしく、

しかも本作はチャップリンやヒッチコックと違い、

ジャンルがSFなのでなおさら価値の高い一作だと思います。


というのもSF映画は、最先端の技術を駆使して作り上げた未来が、

あっという間に風化してしまうというジレンマを内包していて、

テクノロジーの進化によって新しい未来が誕生した瞬間、

過去のSF映画は急に古さを帯びてくる。


なのにですよ、『2001年宇宙の旅』という怪物的傑作は、

製作から50年経っているうえに、2001年すらもはや過去だというのに、

いまなお圧倒的に新しいのだから驚きます。


天才キューブリックが創造した"未来感"に

時代は追いつけていないということなのでしょうか。


ストーリーは、こんな感じです。


***


月に人が住むようになった時代。

月のクレーターの地中から謎の石碑が発掘され、

宇宙評議会のフロイド博士が調査に向かう。

それから18カ月後、

最新型人工知能「HAL(ハル)9000型コンピュータ」を搭載した宇宙船ディスカバリー号は、

デビッド・ボーマン船長、フランク・プールら5人のクルーを乗せて木星探査に向けて航行していた。

しかし、その途上でHALが探査計画に対して疑問を抱いていることを打ち明ける。

ボーマンとプールはHALの不調を疑い、

いざというときはHALの回路を切断することを決めるが、

それを知ったHALは反乱を起こす…


***


決してわかりやすい映画ではありません。

哲学的で深遠にして、魅惑的。

宇宙の神秘を体感するような作品とでも言いましょうか。


人類が月に降り立つよりも前、CGも無い時代に、

キューブリックという天才はこの壮大なスペースオペラを、

原作者のアーサー・C・クラークとともに作り上げました。


宇宙船の造形やインテリアなど、細部にまで徹底的にこだわった映像は、

繰り返し観たくなるほどの完成度。

しかもそれを観たことがないような革新的な技術を使って撮影しているのです。

ほんと50年経った今でも、映像表現の究極の可能性は

この140分にあるなと思います。


本作を鑑賞する際は、ぜひ大画面で観てみてください。

PCや小型テレビしかない方は、プロジェクターレンタルという方法もあります。

白壁があればスクリーンになるし、スピーカーがなければスピーカー内蔵のプロジェクターを選べばいい。

誰でも普通にレンタルできますので、興味がある方は検索してみてください。


せっかく楽しむなら、ベストな環境で。

そんな無茶をするほどの価値が、この映画にはあると思います。


************************************************
『2001年宇宙の旅 HDデジタル・リマスター&日本語吹替音声追加収録版【初回限定生産】』
Blu-ray 4,990円+税
発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
(C)1968 Turner Entertainment Co. All rights reserved.

映画選定・執筆

有坂塁
キノ・イグルー 
有坂塁
キノ・イグルーは、2003年に有坂塁が渡辺順也とともに設立した移動映画館。
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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