キノ・イグルーの週末シネマ​ no.203
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婚期|昭和と令和の違いって面白い映画で描く婚活事情

文:キノ・イグルー 有坂塁

婚期|監督:吉村公三郎(1961年・日本)

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2021年05月07日作成



気がつけば、4年以上続いているこの連載。

毎週、休みなく映画を紹介し、取り上げた映画の総数は203本。


『めがね』や『海街diary』などキナリノ読者の方にも人気の映画から、

『燃えよドラゴン』のようなカンフー映画、

働く女性のバイブル『マイ・インターン』、

はたまたB級ホラーコメディ『狼男アメリカン』まで、

古今東西、さまざまな映画を紹介してきています。


一方、第一回目から「どうしても紹介したい!」と願いながらも

叶っていない偏愛作品というのも何本かありまして

(テーマに合わせて選ぶため、タイミングがなかった)


決して知名度は高くないけど、絶対に埋もれさせてはいけない!


そんな個人的名作と考える1本が、今回ご紹介する『婚期』です。

巧みな心理描写で女性映画を革新した吉村公三郎監督による

"婚期"をテーマにしたコメディ作品。


ぼくは"平成"の初め頃、銀座の名画座で鑑賞。

そのときでも爆笑につぐ爆笑だったのですが、

婚活サイト、婚活パーティー、オンライン婚活と、

「結婚するために活動する」ことが当たり前になった

"令和"から観た方がより楽しめそうな気がします。


いまや遠い昔となってしまった、昭和の婚活事情。

映画『婚期』のストーリーは、こんな感じとなっています。


***


東京のある中産階級の家庭。

理想を追うあまり婚期を逸した感じの次女、

恋愛と結婚は別と割り切るドライ女性の三女、

出戻りとして幾分ひがみを持つ長女、

それにこの家に嫁いできた兄嫁。

それぞれが生活の中で婚期という女のテーマに直面していく…


***


このように文字にすると、

正直言って「面白くなさそう」と思った方も多いと思います。


かくいうぼくも、ストーリー目当てではなく、

若尾文子、野添ひとみ、京マチ子という、

時代を代表する3大女優の共演に心が動きました。

バチバチの演技合戦を想像するだけでワクワクするし、

実際、彼女たちのパフォーマンスは圧巻でした。


でもそれ以上に驚いたのが、脚本の素晴らしさです。

ここは期待していなかった分(失礼!)、宝くじが当たったような気分に。


とにかく全編にわたって喋りまくる、スクリューボール・コメディ的狂騒。

"女の本音"爆発で、みんながみんな言いたい放題。

酷いことばかり言っているのに、ついつい笑えてしまうんです。

そんな血の通ったイキイキとしたキャラクターを、

名女優たちが嬉々として演じているのが、とてもいい。


さらにすごいなぁと思うのが、その軽妙洒脱な仕上がり。

兄嫁いびりを軸に据えながらも、深刻になることなく、

清々しささえ感じさせてくれる。

湿度の高いジメッとした日本映画が多かった当時においては、

明らかに異質な作品だったことでしょう。


脚本を手掛けたのは、水木洋子。

成瀬巳喜男の名作『浮雲』(1955)や

NHKの大河ドラマ「龍馬が行く」(1968) など、

数々の名作を担当した女性脚本家の開拓者であり第一人者。


男に媚びない彼女が、

女による女のコメディとして《結婚》をどのように描いたのか。

どうぞご注目ください!


※『となりのトトロ』でカンタのばあちゃん役を演じた北林谷栄の怪演にもご注目ください!


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『婚期』
DVD 3,080円(税込)
発売・販売元:KADOKAWA

映画選定・執筆

有坂塁
キノ・イグルー 
有坂塁
キノ・イグルーは、2003年に有坂塁が渡辺順也とともに設立した移動映画館。
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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