「映画音楽家だったら、私はジョン・ウィリアムズが好き」
とあるコーヒースタンドにいたとき、そんな会話が聴こえてきました。
「えっ?」と思い耳をそばだててみると、
女性3人の中のひとりが『すばらしき映画音楽たち』というドキュメンタリーを観てきたそうで、
それまで気にしたことのなかった"映画音楽家"について語っていたところでした。
(あとの2人は熟考に熟考を重ね、ミシェル・ルグラン、ヘンリー・マンシーニという答えに)
その語り合ってる姿が、なんだかね、とっても素敵だったんです。
大真面目にではなく、きゃっきゃ楽しみながら語ってる。
知識がなくても楽しめるのが映画の魅力ですが、
歴史や人物を知っておくと、その100倍楽しくなるのもまた映画。
ということで今回は、メインの作品だけでなく、
プラス何人かの音楽家も紹介してしまおうと思います。
まずは、やはりこの人から。
映画音楽のマエストロと呼ばれるエンニオ・モリコーネ。
彼の代表作といえば、そう『ニュー・シネマ・パラダイス』です。
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シチリア島の小さな村にある映画館・パラダイス座。
親の目を盗んではここに通いつめる少年トトは、大の映画好き。
やがて映写技師の老人アルフレードと心を通わせるようになり、
ますます映画に魅せられていくトト。
初恋、兵役を経て成長し、
映画監督として活躍するようになった彼のもとにアルフレードの訃報が。
映画に夢中だった少年時代を懐古しつつ、
30年ぶりにトトはシチリアに帰ってきた…
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聴いているだけで涙が出るレベルの、ロマンティックで美しい愛のメロディー。
モリコーネが偉大なのは、曲自体にそれだけの力がありつつも、
映像に合わせたとき「この曲以外考えられない!」となるところ。
作品世界を深く理解できないと、この一体感は出せないと思います。
さすがは、マエストロ。
では最後に、他の映画音楽家もご紹介します。
オススメしたい人は星の数ほどいますが、
まずは入門編としてメジャー感のある5人に絞ってみました。
★ニーノ・ロータ
一度聞いたら忘れない哀愁を帯びたメロディーが特徴
(『ゴッドファーザー』『太陽がいっぱい』)
★ジョン・バリー
スウィンギング・ロンドンの影響が色濃いイケイケな作曲家
(『007シリーズ』『ナック』)
★ミシェル・ルグラン
エモーションとエレガンスが美しく共存した楽曲を得意とする音楽界の貴公子
(『シェルブールの雨傘』『ロシュフォールの恋人たち』)
★ダニー・エルフマン
強烈なティム・バートンの世界観をワクワクするオーケストレーションでバックアップ!
(『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』『チャーリーとチョコレート工場』)
★ジョン・ウィリアムズ
ルーカスやスピルバーグの盟友で現代映画のリーダー的存在
(『スター・ウォーズ』『ジュラシック・パーク』)
音に意識的になってみると、
知っている作品の見え方自体が変わることもあるので、
ぜひ試してみてくださいね。
今年も「キノ・イグルーの週末シネマ」にお付き合いいただき、ありがとうございました。
みなさま、よいお年を。
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『ニュー・シネマ・パラダイス 完全オリジナル版』
DVD 1,800円(税抜)
発売元:アスミック・エース
販売元:KADOKAWA
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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