オリジナルを知る、ということに興味があります。
音楽の話です。
昨今のカバーアルバムのブームを語らずとも、
世界中には数え切れないほどのカバー曲が存在します。
ビートルズの「イエスタデイ」は、なんとビートルズ活動時点で、
すでに1,000を超えるカバーが存在していたそうで、
"世界で最も多くカヴァーされた曲"としてギネスに認定されているのだそうです。
こうなってくると、
もはやカバーがオリジナルだと勘違いしている人だっているはずで、
かくいうぼくも、スティングの名曲「Englishman in New York」を、
シャインヘッドの「Jamaican In New York」のカバーだ!
なんて言ってしまった過去があったりするのですが…
それと同じように、
あの「ドレミのうた」も映画音楽だとは1ミリも思っておらず、
初めて知ったのは早稲田松竹で『サウンド・オブ・ミュージック』を鑑賞した
30歳のときでした。
「映画の仕事をしてるのに…」と、
散々友人たちに冷やかされたことを覚えています。
あらためて、物語をおさらいしましょう。
***
1938年のオーストリア。
院長の命により厳格なトラップ家へ家庭教師としてやって来た修道女マリア。
彼女の温かい人柄と音楽を用いた教育法で、
7人の子供たちはマリアの事が好きになるが、
父親であるトラップ大佐とマリアの衝突は絶え間なかった。
だが、次第に大佐に惹かれている事に気づき悩むマリア。
やがて大佐の再婚話が持ち上がり彼女は傷心のまま修道院に戻るのだが…
***
説明不要かもしれませんが、
ジュリー・アンドリュース演じるマリアがトラップ家の子供たちに
歌い方を教えてあげる曲こそが「ドレミの歌」です。
このイントロが流れた瞬間、ゾワーッと鳥肌が立ち、
その後はあふれる涙を抑えることができませんでした。
もはや号泣です。
曲の力もさることながら、こどもたちのイキイキした表情と、
街中を移動しながら歌う映像そのものの多幸感にグッときたのです。
そしてこれを機に、ぼくの中で「ドレミの歌」は、
学校で歌わされていただけの曲から、
心が弾むとつい口ずさんでしまう永遠の素敵ソングへと変わったのです。
ぜひ「エーデルワイス」や「My Favorite Things」などの名曲と一緒に
歌いながら映画を楽しんでくださいね。
追伸:『サウンド・オブ・ミュージック』の元ネタである
西ドイツ映画『菩提樹』(1956) も、あわせてオススメです。
マリアの描き方など、いろいろな違いがあって面白い!
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『サウンド・オブ・ミュージック<1枚組>』
ブルーレイ 1,905円+税
発売・販売元:20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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