1杯のコーヒーを飲むように。
ショートフィルムの良さは、それぐらいの気持ちで、
楽しめるところにあると思います。
一般的にショートの定義は30分以下とされていますが、
中には『戦場のピアニスト』ロマン・ポランスキー監督のように、
たった1分間のショートフィルムを撮るような人もいます
(タイトルは『殺人』。これがまたこわい!)
長編のように起承転結でストーリーを語る時間がない分、
ネタのインパクトやオチが大事になってきます。
ショートコントと同じですね。
そこに音と映像を組み合わせて、
いかにオリジナリティあふれる世界観をどう作れるか。
制約があるからこそ、作り手のクリエイティビティが試される。
そこがショートフィルムの魅力だと思います。
今回紹介するようなオムニバス映画は、
そんな個性派作品の集合体なわけです。
おもしろいに決まってる。と同時にオムニバスは
"映画監督のショーケース"という側面もあります。
テーマがあって、競争相手もいる分、
より監督の個性が、ストレートにあらわれるのです。
『パリ、ジュテーム』で言えば、テーマは「パリと愛」。
世界の名だたる監督18人参加、
オムニバスとしては過去に例を見ないビッグプロジェクトです。
でも一話が5分間なので、
さらっと軽い気持ちで観ることができます。
参加監督には、こんな人たちが。
トム・ティクヴァ『パフューム ある人殺しの物語』
ガス・ヴァン・サント『エレファント』
コーエン兄弟『ファーゴ』
アルフォンソ・キュアロン『ハリー・ポッターとアズガバンの囚人』
ウォルター・サレス『モーター・サイクル・ダイアリーズ』
アレクサンダー・ペイン『サイドウェイ』
イサベル・コイシェ『死ぬまでにしたい10のこと』
諏訪敦彦『ユキとニナ』
ヴィンチェンゾ・ナタリ『CUBE』
シルヴァン・ショメ『ベルヴィル・ランデブー』 ほか数名
知っている名前はありましたか?
ハリウッドで活躍する人から、カンヌ国際映画祭の常連、
ブラジル、メキシコ、日本の個性派まで、
多国籍なメンバーとなっています。
ただ18本つづけて観ると結構疲れてしまうので、
ゆっくりと、自分のペースで全作品鑑賞するのがいいと思います。
好きな監督に出会えたきっかけが、
ショートフィルムってなんか素敵です。
この豪華なショーケースから、
あなただけのお気に入りの人を見つけてみてはいかがでしょう?
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映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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