隣のクラスに素敵な転校生が!
休み時間になったら教室の入り口から、その子をみんなで眺めて…
これってドラマとかでよく見るベタなシチュエーションですが、
じつは僕、これを転校生側で体験したことがあるのです 笑
と言っても、みんなが見にきた理由は、
素敵な転校生だからではなく、僕が双子だったからなんですけどー
さて。
その学校に引っ越したのは、小学校6年生のときでした。
最終学年になって、双子がやってきた!
それは話題になりますよね。
おまけにクラスは、2つだけ!
そして最初の休み時間に、それは起こりました。
クラスのメンバーが総入れ替え!
何と、教室には僕だけが取り残され、みんなは隣のクラスへ。
そして、入り口からは僕のことを隣のクラスのみんなが見ているという、
動物園のような状態に(きっと隣の教室では、兄も同じ状況に…)
「うわー!そっくりー!」
みんなが堂々と僕を指差し、笑っています。
悪気はありません。でも、好奇な目で僕を見ている。
きっと、恥ずかしさのあまり僕の顔は真っ赤だったでしょうが、
おかげで、みんなとは一気に仲良くなることが出来ました。
そんな映画みたいなシチュエーションを経験しているため、
個人的に"転校生もの"の映画には敏感なのです。
今回オススメしたい作品は山ほどありますが、
ここはズバッと王道の1本『転校生』でいこうと思います。
名匠・大林宣彦監督が、故郷の広島県尾道市を舞台に作り上げた
青春ドラマの傑作です。
まずは、ストーリーからご確認ください。
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勉強よりもイタズラが好きな中学生・斉藤一夫のクラスに、
斉藤一美という少女が転校してくる。
かつて同じ幼稚園に通っていた一夫を見つけて喜ぶ一美だったが、
一夫は彼女に付きまとわれ、迷惑顔。
帰り道、神社の階段から一緒に転がり落ちたことをきっかけに、
なんと2人の体は入れ替わってしまう。
信じられない状況に戸惑いながらも、
ひとまず相手になりきって
互いの家族や友人の中で生活を続けることにするが…
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1982年製作なので、かれこれ40年近くも前の作品なので、
存在は知っているけど観たことない、という方も多いかもしれませんね。
こちらには、原作がありまして。
1980年に刊行された山中恒の児童文学「おれがあいつであいつがおれで」。
長きにわたってロングセールを続けている児童文学の名作ですが、
同じ男女入れ替わりモノとして大ヒットした『君の名は。』の影響により、
再び注目を集めたのだそうです。
他の"転校生もの"と比ベて興味深いなぁと思うのが、
【転校した先に知り合いがいた】という設定です。
同じ地区ならまだしも、県をまたいだ先でクラスメイトになる。
嘘っぽいと言われたらそれまでですが、
そもそも、この映画はファンタジーですから。
そして"物語の世界"では、
これぐらいのことが起こってくれなきゃ!とも思うのです。
担任の先生が一美を紹介していると、一美は一夫を見て叫びます。
「あれ?デベソの一夫ちゃんじゃない?」
まさかの再会に一美は大喜び!
でもクラスのみんなに恥をかかされた一夫は、大迷惑で面白くありません。
そんな2人が入れ替わってしまうのです。面白いに決まってます。
演じるのは、小林聡美と尾美としのり。
そう!
本作は、みんな大好き『かもめ食堂』の小林聡美、
記念すべき初主演映画でもあるのです。
そして彼女は、その実力を遺憾なく発揮します。
彼女なしでは作品が成立しなかったと言えるほど、
圧巻の演技力を見せつけてくれますので、
ファンの皆さま、どうぞお楽しみに!
(尾美としのりも、負けず劣らず素晴らしい!)
お楽しみにと言えば、ラストがまたとっても粋なんです。
ふわーっと心地のいい余韻を残してくれますよ。
こちらも乞うご期待!
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『転校生』
DVD発売中
発売元:バップ
©NTV/ATG
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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