みなさんは、「趣味」と呼べるものってあるでしょうか?
ぼくの場合、映画鑑賞がまずひとつ。
いやいや仕事でしょ、と言われることも多いのですが、
いまでも完全なる趣味です。
他にも、読書や酒場巡り、カレーの食べ歩きだってそうだし、
3年前からは地元のサッカークラブ「東京武蔵野シティFC」の応援も始めました。
意外と、趣味は多い方なのかもしれません。
このような趣味が見つかると、心身ともにリフレッシュできるばかりか、
様々なメリットも出てきます。
「自信が生まれる」「人脈が広がる」「生きがいが手に入る」。
"好き"が原動力になっているものは、それだけで人間を大きくしてくれます。
人生が豊かになる。
まだ見つかっていない方も、こればかりはタイミングなので、
ひとまず "趣味の世界" が覗き見できる
映画鑑賞あたりから始めてみてはいかがでしょう?
中でも、日本の伝統文化である"茶道"は、
きっかけでもない限り、なかなか触れられない世界。
そして、茶道の面白さを感じさせてくれるありがたい作品が1本あるので、
ぜひ、ご紹介させてください。
それは、黒木華さん、多部未華子さん、
樹木希林さんが共演した『日々是好日』。
読み方は、にちにちこれこうじつ。
20歳から茶道教室に通い始めたという
森下典子さんによるロングセラーエッセイの映画化になります。
内容は、こんな感じ。
***
「本当にやりたいこと」を見つけられず大学生活を送っていた20歳の典子は、
タダモノではないと噂の「武田のおばさん」が茶道教室の先生であることを聞かされる。
母から"お茶"を習うことを勧められた典子は気のない返事をしていたが、
お茶を習うことに乗り気になったいとこの美智子に誘われるがまま、
流されるように茶道教室に通い出す。
見たことも聞いたこともない「決まりごと」だらけのお茶の世界に触れた典子は、
それから20数年にわたり武田先生の下に通うこととなり、
就職、失恋、大切な人の死などを経験し、
お茶や人生における大事なことに気がついていく。
***
この映画の良さは、何といっても、
お茶に興味のなかったふたりを主人公にしたと言う点に尽きます。
歩き方、座り方から始まり、茶道具の置き方や持ち方、
袱紗(ふくさ)の折り方など、樹木希林さん演じる武田先生は、
茶道の素晴らしさを懇切丁寧に指導してくれます。
意味も理由もわからない所作に戸惑うふたりは、
それでも茶道の心得を自分なりのペースで理解しようと努めます。
その姿を観ていると、自分ごとのように茶道に触れることができます。
樹木希林さんなんて、もはや、お師匠さんにしか見えない 笑
劇中で使われる茶碗や棗(なつめ)、掛け軸といった茶道具はすべて本物。
茶室も横浜にある「三渓園」を使っているとのことで、
様々なお宝を愛でるのが出来るのも、この映画のいいところ。
そして樹木希林さんは、劇中、こう言います。
「お茶はまず『形』から。先に『形』を作っておいて、後から『心』が入るものなの」
こういった真理の部分がわかるだけで、安心できますよね。
茶道に対する敷居の高さも、ちょっと変わってくる。
趣味を探すときに大事なのは、楽しいのが第一。
そして、それと同じくらい"本質的"なものに心が動くかどうか。
そこの相性さえバッチリなら、
生涯楽しめる趣味が見つかるのも時間の問題かもしれません。
Let’s Try!
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『日日是好日 通常版』
DVD:4,290円
Blu-ray:5,280円
DVD&Blu-ray発売中
発売元:ハピネットファントム・スタジオ/パルコ
販売元:ハピネット・メディアマーケティング
©2018「日日是好日」製作委員会
映画選定・執筆
キノ・イグルー
有坂塁
東京を拠点に全国のカフェ、パン屋、酒蔵、美術館、 無人島などで、世界各国の映画を上映している。
さらに「あなたのために映画をえらびます」という映画カウンセリングや、
目覚めた瞬間に思いついた映画を毎朝インスタグラムに投稿する「ねおきシネマ」など、
大胆かつ自由な発想で映画の楽しさを伝えている。
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